歴風文化賞に建物2件、風景1件 守る会が選定
update 2022/1/29 19:53
函館の歴史的風土を守る会(歴風会、佐々木馨会長)は27日、第39回歴風文化賞を発表した。保存建築物は「晴山勇邸蔵・母屋」(函館市大森町)と「田柳邸(宝来亭)」(函館市宝来町)、原風景は「港が丘通」(函館市元町周辺)1件の計3件を選んだ。
同賞は1983年度に創設。建造物自体の貴重性や歴史性、街並みへの波及効果など6項目の基準を基に選考している。
保存建築物として選ばれた晴山勇邸蔵・母屋は、1905(明治38)年頃に五十嵐質店の蔵として石造りで建てられた。木造2階建て、下見板張りの壁、瓦屋根など全体的な外観は創建当時の姿を継承する。柱や調度品もそのままの姿で保存され、伝統的なフランス積みのレンガ塀も残り、大正期の西部地区の和風住宅の歴史を知る貴重な建築物と評価された。
田柳邸は、1937(昭和12)年頃に青柳坂に面して建てられた木造平屋建て。玄関前柱上部のアーチ意匠や石張りの外壁、2つの出窓などは創建当初の外観を保っている。中庭形式の庭園には夫婦松の赤松、黒松や各種の草花が植えられ、縁側から四季の変化を感じ取ることができる。
原風景に選ばれた港が丘通は、二十間坂と魚見坂を結び、函館山北東部の山裾に広がる市街地を横断する。かつては「坂上通」と呼ばれていたが、1990(平成2)年に近隣の小学生が名付け親となり改名された。沿道には明治・大正期に建てられた教会や洋館、和洋折衷住居が連なり、異国情緒が漂う通りであるとともに、混在する和風住居や寺院と相まって、開港以来の函館の歴史が伝わる。
表彰式は2月11日に関係者のみで行う。
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