故石川さんのシベリア抑留経験を基に楽曲制作 佐藤三昭さん
update 2021/6/9 08:08
函館で絵画教室を主宰した石川慎三さん(1919〜2015年)が晩年に残したシベリア抑留体験を描いた作品群から着想を得て、宮城県在住の邦洋楽作曲家、佐藤三昭さん(53)が、5つの楽曲を書き下ろした。石川さんの絵の展示に演奏を重ね、体験記などの朗読を交える公演を想定しながら、七飯男爵太鼓創作会(高橋理沙会長)が曲の練習を進めている。
佐藤さんは函館YWCA会館で7月に予定する「和太鼓創作劇 石川啄木物語」に向けて4月に来函した際、函館YWCAピースプランニング委員会の丸山泉委員長から、昨年8月に市内で開いた石川さんの絵画展の話を聞いた。
石川さんは太平洋戦争中、陸軍兵士として北千島の前線で米軍と戦い、45年8月の終戦直後には侵攻してきた旧ソ連軍との戦闘の末、捕虜となった。その後、49年12月に帰国するまでシベリアで過ごした。90歳を目前とした2008年ごろから極寒での強制労働や仲間の死など過酷な記憶を11点の絵画として描き、短歌や文章でも体験を残した。
佐藤さんの大伯父もシベリア抑留経験者で、断片的に聞いていた話と石川さんの経験を重ね合わせたといい、「石川さんにとって絵を描くことはつらいことだったと思う。80年もたたないごく最近、このような経験をされた人たちがいたことを後世に伝えなくてはならない。(曲を書く)権利はなくても義務があると思った」と話す。
石川さんの体験記「もうひとつのシベリア抑留」では、捕虜の粗末な昼食を知った現地の老女が芋煮を持ってきてくれたことなど、収容生活の日常も残した。佐藤さんは「人間同士は戦いがなければ気を遣い合うもの。心の中では争うことを望んではいない。愛し、助け合おうとする気持ちを持っている」と共鳴する。
遺族の了承も得て、和太鼓やしの笛の演奏曲として「帰心」「占守島にて」「極寒の星」などのタイトルの5曲が4月末に完成。それぞれに「石川慎三に捧ぐ」と副題をつけた。激しい戦闘を想起させるばかりではなく、望郷の念や亡くなった人たちの無念さを込めた曲もあるという。
公開時期は未定だが、七飯男爵太鼓創作会では小学1年生から大人までのメンバー10人で楽曲の練習を始めた。高橋会長(34)は「楽曲からは重々しい空気も感じるが、その中にも哀愁みたいなものがある。戦争を経験された方々が少なくなり、重なりが途絶えようとしているタイミングで太鼓を通して引き継いでいこうとメンバーで共有している」と話している。
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