震災10年 鎮魂の祈り まちセンで献花式

update 2021/3/12 07:02


 函館市地域交流まちづくりセンターは11日、東日本大震災の犠牲者を追悼する献花台を設置した。地震発生時刻の午後2時46分には集まった約50人が黙とうした後、ハナミズキ音楽事務所(仙台市)代表のバイオリン奏者、小川有紀子さん(51)が演奏をささげた。2011年3月11日からそれぞれが過ごした10年の歳月を思いながら、静かに祈った。

 同センターはコロナ禍で休館した昨年を除き、毎年献花台を設置。来館者は用意された白いカーネーションを献花台へとささげ、手を合わせた。地震発生時刻には丸藤競センター長の発声で黙とうし、修学旅行で居合わせた札幌中央中学校の生徒たちも一緒に祈りをささげた。

 献花に訪れた宮城県出身の迫テル子さん(81)は末広町の自宅が津波の被害を受け、同県石巻市では親族1人を亡くした。迫さんは「四十九日目に遺体が見つかるまで、海に向かって毎日お参りをしていた。(親族は)若くして亡くなったので悲しい気持ちはいまも消えない」と話した。同県気仙沼市出身で同市で親族5人を亡くした函館市日吉町2の熊谷正さん(88)は「追悼式に来ることができて良かった。10年は長いようで短く、昨日のことのように思える」と話していた。

 また、仙台フィルハーモニー管弦楽団第2バイオリン副首席奏者でもある小川さんは各地で復興支援の演奏を続け、この日は「G線上のアリア」(バッハ作曲)「この道」(山田耕筰作曲)など3曲を献奏した。

 仙台市内でリハーサル中に被災した小川さんは、毎年3月11日は地震発生時刻からの自分の行動を思い返し、「もう1回、あの日をやり直している気がする」と話す。「今年は演奏していて(気持ちが)しんどかった。私は身内も仲間も大丈夫だったが、この10年にお会いしてきた人たちは傷だらけで、どうにもならないような思いの固まりを感じた。こうした演奏活動を続けることができれば」と話していた。

提供 - 函館新聞社

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