生産性向上や魚種転換支援 函館市、イカ不漁長期化で新制度創設へ
update 2018/1/1 07:10
函館市はスルメイカ不漁の長期化を受け、水産加工業の魚種転換やIT(情報技術)を活用した生産性向上を支援する制度を、2018年度に新設する方向で検討していることが分かった。魚種転換や生産性向上に向けた設備投資を行った場合、既存制度より優遇した利率で貸し付けを行う新たな資金制度の創設も併せて検討。水産加工業の持続可能な生産体制を維持し、函館の基幹産業を守る考えだ。
魚種転換は新商品開発と設備投資、生産性向上は研究開発と設備投資のそれぞれ2つのメニューを設ける案が有力視されている。新商品開発と研究開発はすぐに着手しやすいため、18年度当初予算に盛り込む方針。一方、設備投資は段階を踏む必要があると判断、18年度当初には盛らず、その都度補正対応する考え。魚種転換はイカから近年漁獲が増えているブリなどを想定し、生産性向上はイカ加工に限らず、人手不足が著しい市内の全産業を対象にする方向だ。
制度に協調し、設備投資にかかる自己負担分に対し最初から低利で融資が受けられるようにする。現行の中小企業向けの融資制度では、イカを使う水産加工業者の利率を一律0・5%引き下げる優遇措置を行っており、新制度は最初から低めの金利を設定。市が融資原資を銀行に預託し、制度全体の預託額100億円は現行と変わらない見込み。
市経済部によると、優遇措置での貸し出し決定件数は20件(16年12月〜17年11月末現在)で、融資額は4億1600万円。当初は17年12月31日までの時限措置だったが、イカの漁模様が不透明な部分が多いことから19年3月末まで継続する。
市はこのほか、17年10月に業界団体が行う輸入イカの共同調達に対する補助制度も新設した。
17年度の市水産物地方卸売市場での生鮮スルメイカ取扱量は1617トン(昨年12月20日現在)となり、約30年ぶりの大不漁を記録した16年度実績をわずかに上回ったものの、低水準に変わりはなく、価格も例年の2倍以上と好転の兆しは見えない。
同部は「イカの原料不足や価格高騰で困窮する水産加工業を市として支援するとともに、全産業的な労働力不足にも対応したい」としている。
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