イカ不漁でアンケート 加工企業7割が価格転嫁
update 2017/11/17 07:55
スルメイカ不漁への対応として、函館市の加工企業の約7割が販売価格に転嫁したことが、道教育大函館校の孔麗(コンリー)教授(国際企業論)が行ったアンケート結果で分かった。売上高の変化では半数近くが減少し、経営に与えた影響では資金繰りの難しさが最多を占めており、厳しい経営環境が浮き彫りになった。
アンケートは今年5月、函館特産食品工業協同組合と函館朝市協同組合連合会(販売店、飲食店)の構成員を対象に実施。151社・店舗にアンケートし、80社・店舗が回答。回収率は53・0%だった。イカ不漁の長期化を受け、函館を支える水産加工業と観光業に与えた影響、その対応を把握する狙い。
イカ不漁への対応では、加工企業が「販売価格に転嫁した」が73・3%と最も多く、このほか「イカ加工品目数の削減」が20・0%、「イカ以外の品目製造(取り扱い)拡大」が33・3%、「製造量削減」が13・3%、「従業員削減」が10・0%など。販売店も販売価格への転嫁が60・0%と最も多く、次いで内容量の削減が45・0%、飲食店も販売価格への転嫁が41・2%で最多。
価格引き上げ率は加工企業、販売店、飲食店いずれも10〜29%が多い。内容量の削減では、加工企業は20〜39%、販売店と飲食店は10〜19%が中心。売上高の変化をみると、減少と答えたのが加工企業で46・9%、販売店で47・8%と半数近くを占めた。加工企業の34・4%、販売店の47・8%、飲食店の66・7%が「大きな変化なし」と答え、経営努力で減少を食い止めた結果がうかがえる。
イカ不漁が経営に与えた影響として「資金繰りが難しくなった」が加工企業35・0%、販売店46・2%、飲食店36・4%と最も多かった。加工企業と飲食店で「雇用維持が難しくなった」が25・0%、18・2%となり、販売店では「経営継承が難しくなった」が9・1%。
求められる対策では、加工企業は「イカ輸入枠の拡大」(64・3%)が圧倒的に多く、このほか「低利融資」「利子補給」の金融支援や、「他産地との協力流通体制」「原料の地域内融通の仕組み」の構築、「原料共同貯蔵施設」の整備を望む声もある。
今後の経営戦略では「新製品・メニュー開発」が加工企業72・4%、販売店38・1%、飲食店61・5%と最多で、加工企業では「輸出への取り組み」(27・6%)、「経営縮小」(17・2%)という回答も。
孔教授は「イカへの依存度を下げつつも、地場産を使った付加価値を高めた商品・メニューの開発が急がれる」と提言している。
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