高丘小、亡き児童の思い出詰まった「希望の時計」復活
update 2017/11/12 07:29
函館高丘小学校(古川邦彦校長、児童317人)は11日、グラウンドに新しい屋外時計を設置した。同校に通い、1980年に闘病の末に12歳で亡くなった硲(はざま)健一郎さんをしのんで作られた「希望の時計」の名前を受け継いだ2代目だ。除幕式には十勝管内音更町から母ケイさん(80)ら家族も来校し、「これからも子どもたちの希望の存在になってもらえたらうれしい」と喜んでいる。
野球が大好きで素直な少年だったという健一郎さんは79年の春、6年生の時に骨肉腫と診断された。札幌での入院生活は8カ月にもなり、右足の切断やつらい抗がん剤治療にも明るさを失わずに耐えたが、80年1月14日に短い生涯を終えた。ケイさんは「函館に一時帰宅した時に、担任の先生にヨットに乗せてもらい、最高の笑顔を見せてくれました」と話す。
健一郎さんの思い出が詰まった同校には同年4月、両親の寄付金で「希望の時計」が設置された。30年以上にわたって、児童たちに時を知らせてきたが、老朽化のために故障し、数年前に撤去。当時の思いを知ったPTA(平川公一会長)が中心となり、4年ほどかけて、復活の準備を進めてきた。
購入にはベルマーク事業を利用し、同校で集めた約8年分に加えて、近隣の高丘幼稚園の協力や閉校した旧五稜中からも引き継いだ。地域からの寄付、同校卒業生らが工事に協力し、今月上旬に設置を終えた。取り組みは、健一郎さんの妹二ツ山千賀子さん(43)=音更町=にも伝わり「友達からメールで『お兄ちゃんの時計復活するんだよ』と教えてもらいました」と話し、ケイさんとの来校につながった。
地域公開授業参観日に合わせた除幕式は、雨のため体育館に変更したが、全校児童と保護者、近隣住民も参加。平川会長(43)と古川校長(59)は「たくさんの人たちの気持ちが詰まっている。大切にして」と呼び掛けた。ケイさんは「皆さんの力でよみがえらせてもらいました。函館に来た時には時計を見に来ます」と感謝していた。
吹奏楽部のファンファーレとともにテープカットに参加した児童会長濱谷世名君(12)と、健一郎さんも所属した高丘にれの木スポーツ少年団キャプテンの中村陵雅君(11)=ともに6年=は「悲しい出来事があったことを知りましたが、新しい時計を天国で喜んでくれていると思う。これからも時計の前で元気よく過ごしたい」と話していた。
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