函館美術館で田辺三重松生誕120年展
update 2017/10/5 07:32
函館出身で、道内各地の雄大な自然を描き続けた田辺三重松(1897−1971年)の生誕120年を記念した展覧会が4日、道立函館美術館(五稜郭町37)で始まった。画家としての生涯を田辺の残した言葉と合わせてたどることができる。27日まで。
田辺は、函館商業学校時代に日本画家北條玉洞の指導を受け、21(大正10)年には道内初の美術団体・赤光社の設立にかかわった。28(昭和3)年に二科会に出品し初入選を果たし、42(同17)年に二科賞を受賞。戦後は、行動美術協会などの創立にかかわり、画業に専念した。
開会式で堤邦雄館長は「力強いタッチ、大胆な筆遣いといった田辺三重松の魅力を楽しんでもらいたい」とあいさつ。初期の作品から、二科会で活躍した時期、戦後、画風を確立した円熟期に分けて、約90点を展示した。
作品のうち、戦後に入山可能になった函館山の途中の木々の間から港を見下ろした「樹間」(48年)、入船漁港から御殿山を描いた「初夏の船入澗」(53年)など、四季折々の函館の景色を描いた作品も多い。
道内各地の雄大な自然を好んで描き続け、67年には右目の視力を失ったが、さらに色鮮やかな世界を描き続けた。田辺三重松の三男田辺進三さん(72)=東京在住=は「失明してからの作品は画家としてひとつ違う境地にあったのだと思う」と話し、描けることの喜びを持って創作を続けた父を振り返っていた。
観覧料は一般510円。大学、高校生300円、中学生以下無料。7日と21日の午後2時から、学芸員によるギャラリーツアーを開催。問い合わせは同館(0138・56・6311)へ。
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