48時間で短編映画制作のコンペ、函館出身・太田監督が最優秀賞

update 2017/9/29 07:55


 48時間以内に短編映画を完成させる映像コンペティションの東京大会で、函館出身の映画監督太田龍馬(りゅうま)さん(39)=東京=の作品「わたしのまち」が最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞した。来年3月にパリで開かれる世界大会に出場し、上位作品はカンヌ国際映画祭(5月、フランス)へと道がつながる。太田さんは「作品賞は全スタッフ、キャストによる結果でうれしい。映画が生まれた街に自分たちの作品を持って行くことができる」と喜んでいる。

 太田さんは1978年生まれ。函館東高、東京工芸大学芸術学部映像学科卒。映像業界でさまざまな仕事を重ね、「僕たちのプレイボール」(2010年、三村順一監督)では脚本、東日本大震災後の東北の人々をとらえたBS12のドキュメンタリー「未来への教科書」ではディレクターを務めるなどした。

 大会は01年に米国で始まり、世界130以上の都市で開かれる「48Hour Film Project(48HFP)」。初日に登場人物やせりふなど共通設定が発表され、アクションやコメディーなど作品ジャンルは抽選で決めて、8分以内の短編を仕上げる。国内は大阪、東京の2都市で、今年の東京には40組が出場し、8月4〜6日に行われた。

 太田さんの制作班は出演を依頼した俳優の飯村未侑さん、山形啓将さんを含む総勢13人。ジャンルは「成長物語」を引き、飯村さんのイメージを重ねながら、「東京に一度出たが地方に戻ってきた女の子」を主人公に脚本を執筆し、同5日に千葉県銚子市で撮影した。「初参加の昨年は、きれいな作品はできたが評価は得られず、勢いや感情が足りなかったと思った。今回は荒くても、その時の自分にしか書けないもの、撮れない感情を撮ろうと思った」と振り返る。

 編集作業はぎりぎりまで続き、データコピーも移動の電車内で行うなど完成品の提出は締め切り時刻のわずか8分前。時間内に間に合わなかったグループもあった。9月2、3の両日に一般客を入れた上映会を行い、同10日に受賞作が決定。東京大会代表作品に選ばれた。

 48HFPの世界大会に出場した日本の作品はこれまでに4作品がカンヌに駒を進めている。現在、英語字幕の制作中といい、太田さんは「カンヌまで行けたらという思いはある。小さな女の子が意地を通す物語が世界でどのような評価になるのか楽しみ」と話す。また、長編作品撮影にも意欲を示し、「函館で撮りたい映画がある。48HFPにも函館でチャレンジしてみたい」と話している。

提供 - 函館新聞社

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