陸自機墜落、自動操縦解除に気づかず 事故調査結果公表
update 2017/9/14 07:25
【北斗】今年5月に陸上自衛隊のプロペラ機が北斗市茂辺地の山中に墜落し、乗員の男性隊員4人全員が死亡した事故で、陸自航空事故調査委員会は13日、事故調査結果を公表した。主な原因は視界不良の中を自動操縦で運航していた機体が何らかの理由で手動に切り替わり、それに気づかないまま機体が右に旋回し、異常な姿勢で山腹に衝突したと結論付けた。調査結果を踏まえ、陸自は15日から同型機の飛行訓練を再開する。
調査結果によると、自動操縦が手動に切り替わった要因として、無線通話の際または操縦かんを握る手の親指が手動に切り替わるスイッチ類に触れた可能性を指摘。機体は雲の中で自動操縦を頼りにしていたが、乗員は手動に切り替わったことにも、視界が遮られた中で機体が降下しながら右に旋回を始めたことにも気づかず、立て直す対応が間に合わなかったとした。
再発防止策として、手動運転に切り替わる全てのスイッチ類や操縦かんを持つ際の親指の位置に印をつけて注意を促し、操縦の際に声を掛け合うなどの段取りや、不意にスイッチを押さないための操縦かんの握り方などを、今後の教育でさらに徹底していくとした。
調査結果を受け、北部方面総監の田浦正人陸将は「隊として今回の事故を重く受け止め、事故調査委員会の調査結果を徹底する」とコメント。飛行再開について陸上幕僚長の山崎幸二陸将は「事故により、かけがえのない隊員の命を失ったことは陸上幕僚長して、また当時の北部方面総監として痛恨の極み。同種事故の再発防止に万全を期し、今後も与えられた任務の遂行にまい進していく」と述べた。
事故は5月15日午前11時48分ごろ、緊急患者空輸のため丘珠空港内の札幌飛行場から函館空港に向かっていた陸自北部方面航空隊本部付隊LR―2機が、空港のレーダーから消え、通信できなくなったことで分かった。翌日、北斗市の袴腰山東側の山腹に衝突した機体が見つかり、乗っていた男性隊員4人の死亡が確認された。陸自は陸上幕僚副長をトップとする航空事故調査委員会を設置し、現場調査で回収した部品の解析作業を進めていた。また、事故以降、陸自は保有の同型機全機の飛行を停止していた。
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