海藻の1次加工に特化 ノース技研がベンチャー企業設立
update 2017/8/16 07:29
ノース技研(函館市昭和3、布村重樹社長)はこのほど、健康食品メーカーが利用しやすいよう海藻の1次加工を行うベンチャー企業「北海道マリンイノベーション」(布村社長)を設立した。アカモクなど未利用の海藻が多い函館で、これまで未開拓の分野に進出し、海藻の付加価値を高め、漁業者の生活を豊かにする狙い。海藻の1次加工を手掛ける会社は国内でも珍しいといい、9月にも製造を開始したい考えだ。
新会社は資本金500万円で、登記は6月30日。函館市国際水産・海洋総合研究センター内の2室を借り、事務所と研究開発施設を設置した。社員は現在3人だが、今後地元採用で人数を増やす予定。
ノース技研は、函館エリアで採択された「都市エリア産学官連携促進事業」や「函館マリンバイオクラスター」に参画し、北大大学院水産科学研究院、道立工業技術センターと海藻に関する共同研究、新製品の開発を進めてきた。アカモク由来のフコキサンチン(体脂肪の燃焼を促す効果)を利用したサプリメント「フコキサンチン1000」の商品化に成功し、ヒットさせた実績もある。
しかし「研究成果が必ずしも商品化に結び付いていない」(布村社長)と判断、メーカー向けの基礎原料を提供する新会社を立ち上げた。海藻をメーカーが利用しやすいよう1次加工を行い、その加工原料を使って複数の企業が新商品を開発するという取り組みだ。
ガゴメコンブやアカモク、ダルス、マコンブなど函館で採れる海藻全般を対象に、機能性成分を抽出・濃縮し、粉末や液体などに加工。ヒ素やカドミウムなどの有害重金属の除去・低減も行う。メーカー側のニーズに合わせ用途別に規格化し、一定の品質を確保した上で販売する。
今年1月に産官学で設立した「海藻活用研究会」(会長・安井肇北大大学院水産科学研究院院長)理事の一人である布村社長は、一緒に活動する化粧品メーカーや健康食品メーカーなどから1次加工原料のニーズがあることを確認。加工原料が安定供給できれば、研究成果を生かした商品開発が飛躍的に進むことも期待される。
原料の海藻をどう確保するかが課題。函館産アカモクは、未利用のため採る仕組みが確立されていない。同研究会がアカモクの資源量を調査しており、結果をもとに来年以降、収穫を地元漁協に依頼する考えだ。布村社長は「漁業者の所得向上と後継者の参入も後押しできれば」と話している。
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