「AI配車」国内初の商用化 未来大ベンチャーが開発
update 2017/7/5 07:55
公立はこだて未来大発のベンチャー企業「未来シェア」(函館市美原)が開発した人工知能(AI)の配車計算システムが1日から、名古屋市と中部国際空港(セントレア)を結ぶ乗り合いリムジンタクシーに導入された。同社によると、AIを活用した配車システムの商用化は国内初。複数の客の需要に合わせ、最も効率の良い乗り合わせや車両台数、ルート、時刻を自動的に計算する。
未来シェアは、客の要求に応じてAIがリアルタイムにルートを決定し、乗り合い車両を走行するシステム「スマートアクセスビークル」(SAV)を提唱している。配車計算はSAVを応用した技術で、今回はリアルタイムではなく、2日前まで電話予約を受け付け、予約客の人数や乗車・降車位置などのデータを集めた上で、AIが最適な組み合わせを計算する。代表取締役社長を務める未来大の松原仁教授は「タクシー会社の意向や法律の範囲内で考えると、商用化はリアルタイムの配車決定に向けた大きな一歩」と意義を話す。
運用するのは名古屋市の「つばめタクシーグループ」。名古屋市を含む5市1町がエリアで、2人以上の予約で運行する。料金は定額制で1人片道6000〜7000円など。所要時間は片道2時間程度を見込む。同グループは「航空機が遅延した場合の対応など課題は多い。まだ予約が入っていないので不透明な部分はあるが、AIの配車計算後、人間が細かな調整をする必要が出てくるかもしれない」としている。
未来シェアの松舘渉代表取締役は「山ほどの組み合わせの中で、どれが最適なのか決定する能力は人間以上。人間以上の効率化ができれば」と説明する。
SAVの研究は、未来シェアの会長で未来大の中島秀之名誉学長が産業技術総合研究所勤務時代に着手し、その後未来大を中心に継続。11年には「NPO法人スマートシティはこだて」が発足、13年から函館などで実証実験を始めた。未来シェアは昨年7月に設立した。
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