伝建の相馬社屋、11年ぶり外壁塗り替え
update 2017/5/18 09:02
不動産賃貸業の相馬株式会社(函館市大町9)は、伝統的建造物(伝建)に指定されている社屋の外壁塗り替え工事を進めている。2006年以来11年ぶりの作業で、現在と同じモスグリーン系の塗料を使用し、屋根などの老朽部分の修繕も実施。7月末の完了を予定している。
基坂の坂下に位置する建物は、1913(大正2)建築で、明治の豪商、相馬哲平(初代、1833〜1921年)経営の会社として16(大正5)年に現在の姿になった。基礎石積み、木造2階建てで、屋根に突き出たドーマー窓など装飾にも見応えがある。戦中、戦後の一時期を除き、グリーン系に塗られてきた。
周辺一帯は07(明治40)年の大火で焼失した区域で、坂の中腹に伝建の旧相馬邸(08年完成)、坂上には国の重要文化財旧函館区公会堂(10年完成)といった相馬哲平ゆかりの建物が残る。
函館市が2015年度から西部地区の歴史的建物を対象に実施している調査では、塗装のはがれや屋根瓦のずれなど、一部に補修すべき場所はあるが建物全体として「健全な状態を保っている」(都市建設部)と評価。調査を担ったNPO法人はこだて街なかプロジェクトの山内一男理事長は「使われている建材の緻密さが違う」と話す。
完成から1世紀を超え、西部地区を代表する建物でもあり、同社はこれまでも約10年ごとに外壁を塗り直すなど屋内外の保全に努めている。今回も建築当時に使われていた塗料と材質が近い英国製の塗料を使用して、夏場の観光トップシーズン前には作業が終わる見通しで、同社は「7月末には鮮やかになった姿をご覧いただきたい」としている。
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