スルメイカ漁予想 今季も厳しく

update 2017/5/11 08:01


 昨季の道南スルメイカの大不漁を受け、6月1日に解禁となる今季の漁模様が注目される。水産研究・教育機構(横浜市)が4月下旬に発表した日本海全体での漁期前半(5〜7月)の長期予報では、来遊量は近年平均(2012〜16年)を下回り、不漁だった前年並みになると予想。明るい材料がなく、今季も楽観視はできない状況だ。

 函館のイカ釣り漁船は解禁後、日本海側を北上する群れを狙って松前小島付近で操業。津軽海峡内に漁場が形成される7月まで日本海が漁獲の中心となる。

 長期予報は日本海でのイカ釣り漁業を対象に、主に10〜12月に山陰〜九州西側で産卵する「秋季発生系群」を調査した。昨年10〜11月に実施した幼生分布調査で、1調査点あたりの平均分布密度は0・13匹で、15年の0・64匹、過去5年(11〜15年)平均の0・92匹を下回った。このため、秋季発生系群の親魚量も15年と過去5年平均より少なかったとみられる。

 また、今年4月に行った新規加入量調査では、今季の漁獲対象となる胴長5センチ以上のスルメイカの1調査点あたりの平均採集尾数は8・6匹で、前年の5・8匹を上回ったが、近年平均の21・2匹を下回った。

 気象庁の予測では、4月中旬〜6月の対馬暖流域の表面水温と水深50メートルの水温は、ともに平年より「やや高め」としており、前年と過去5年もおおむね平年より高めに推移したことから、漁期の開始は前年と同じ平年並みと予想している。

 道総研函館水試の澤村正幸研究主査は「今のところ九州や山陰地方でしか漁獲されておらず、数もあまり多くない。既に今季の漁期が始まっている石川県や新潟県も、まだ水揚げがないもよう。水温を見るとスルメイカが北上してもおかしくない状況だが、北上の遅れよりも資源量そのものが減少している可能性がある」と指摘。北海道日本海へのスルメイカ来遊予測は、同水試の試験調査船「金星丸」が20〜26日に秋田県〜松前沖で行う調査結果に基づき、29日にも発表される。

 函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長は「秋季発生系群の産卵場は形成されたが、ふ化した幼生の分布量は1980年代の不漁期とほぼ同じ値で、今後の懸念材料である。ただ、今年は50メートル深水温で能登半島沖の冷水の張り出しが強く、沿岸に漁場ができやすい環境になっているため、過去2年に比べて、6月初漁日のイカ釣り漁場は津軽海峡西口に達する可能性が高い」としている。

提供 - 函館新聞社

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