函館市、再生エネルギー積極導入 年間2520世帯分の電力に
update 2017/3/28 07:58
函館市は、市の公共施設での再生可能エネルギーへの取り組み状況を明らかにした。太陽光やバイオマス、廃棄物から発電された総電力量は1300万キロワット時(2015年度実績)。1世帯当たりの年間使用電力量(5156キロワット時)に換算すると、年間2520世帯分になる。
市経済部によると、太陽光発電システムは2002〜16年に導入。中央図書館や、はこだて幼稚園・千歳図書室、戸井西部総合センターなど計14カ所に設置しており、発電した電気は自己消費または余剰分を売電している。新湊町太陽光発電所では独自の発電事業に取り組んでいる。
バイオマス発電は歴史が古く、1989年に南部下水終末処理場で開始。下水汚泥を処理する過程で発生する消化ガスを施設内で有効活用している。また、92年に廃棄物発電を始めた日乃出清掃工場ではごみを燃やした熱を利用して発電し、余剰分を売電している。
赤川高区浄水場水力発電所は昨年10月から、新中野ダムから浄水場へ原水を送る導水管路の高低差(約100メートル)で生じる水圧を利用し発電、全量を電力会社に売っている。
導入効果は赤川高区浄水場水力発電所分を除き、15年度実績で1300万キロワット時となり、市の施設からは全世帯の1・76%に当たる年間2520世帯分の電力を賄える。
市は、新エネルギーに関する市民意識の醸成に向け、一般住宅への太陽光発電設備の設置費用の一部を補助する「市住宅用太陽光発電システム設置費補助金」を11年度に創設。今年1月末までに計619件の申請があった。民間の太陽光発電事業者に対する遊休市有地の貸し付けは、高岱町や新湊町、女那川町、釜谷町の4カ所で13〜16年に事業を始めた。南茅部と恵山両地区では、2つの事業者が地熱発電事業の実施に向けた調査に乗り出している。このほか、津軽海峡の潮流を生かした発電事業の研究や水素エネルギーの可能性を探る勉強にも着手している。
国が14年に策定した長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)によると、発電電力量の構成は水力以外の再生可能エネルギー(太陽光、バイオマス、風力、地熱)が14年度の3・2%に対し、30年度には13・2〜15・2%に拡大する見通し。
同部は「道内は新エネルギーの賦存(ふぞん)量が全国トップクラスで、市でも官民を挙げて積極的に導入を図ってきた。市民や事業者レベルで地域特性を生かした新エネルギーの導入をさらに促進したい」としている。
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