流山牧場「オスカ」が馬搬復活に貢献 八戸の取り組みに参加
update 2017/2/5 08:13
馬で木材を運搬する「馬搬(ばはん)」の復活を目指す青森県の八戸市森林組合(赤澤栄治組合長)の取り組みに、七飯町東大沼の「大沼流山牧場」の重種馬「オスカ」(雄4歳)が貢献した。1月中旬に同市の景勝地、種差海岸周辺で昨夏の台風による倒木の撤去作業に従事。三陸復興国立公園の一部で、貴重な周辺の植生を必要以上に傷めることのない昔ながらの馬搬作業は地元の注目を集めた。
同組合によると、八戸周辺は古くからの馬産地で、「騎馬打毬」(きばだきゅう)という英国のポロに似た伝統競技など馬にまつわる文化が残る。種差海岸周辺でも半世紀ほど前までは馬が飼われていたり、山から切り出した材木を運び出す馬搬も行われていたが、20年以上前に廃れたという。
数年前から馬搬の復活を模索し、技術を持つ岩手県遠野市を視察するなどしている。馬搬を得意とする馬を飼育する大沼流山牧場への依頼は昨年に続いて2回目で、牧場スタッフの西埜将世さん(36)と今坂祐介さん(33)とオスカが1月12日から24日まで出張して作業に当たった。
オスカはベルギー産のベルジャンホースという種類で、おとなしくて我慢強い性格。体格はばんえい馬よりは小さいが体重は800キロほどあり、自重と同じくらいの重さの荷物を引くことができる力自慢という。
種差海岸周辺の松林では昨夏の台風でクロマツがなぎ倒された。重機を使って搬出する場合は、作業用の道を切り開く必要があるなど環境への影響も大きいが、馬搬は道幅が1メートルもあれば作業が可能。急傾斜地もいとわずに林から丸太を運び出すオスカの姿は、市民や観光客の注目も集めたといい、今坂さんは「オスカの熱烈なファンもできました」と笑う。
同組合の工藤義治業務課長(42)は「作業効率で考えれば機械を使った方がいいが、道幅が狭くても作業ができ、環境への影響も少ない。馬が作業する姿は見た目も良く、観光林業としての可能性も広がる」と話す。同市内では今春から、ばん馬の飼育を新たに始める人が馬搬作業にも関心を持っているといい、担い手や馬が増えれば馬にかかわる産業の振興にもつながる。工藤課長は「大沼や遠野市の馬文化を継承している地域とも連携していきたい」と期待を寄せる。
オスカをはじめとする馬搬を得意とする馬たちは2月も苫小牧や登別、恵庭など各地に出張を予定する。西埜さんは「馬搬は本来はなくなった仕事だが、馬でなければできない強みがある。馬文化のすそ野を役割を担っていきたい」と話している。
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