函館共愛会、創立90周年で記念誌 保育と福祉、歩みたどる

update 2025/5/6 08:04


 社会福祉法人函館共愛会(種田貴司理事長)は、創立90周年記念誌を発行した。1934(昭和9)年の函館大火を契機に設立されてから、現在までの歩みをたどり、歴史を物語る資料や元保育士の座談会なども盛り込み、法人初となる記念誌にまとめている。

 同法人は、昨年11月16日に90周年を迎えた。これまで一度も記念誌を作ったことがなかったことから、90周年記念事業として企画。2017年に同法人の保育事業の歩みを論文にまとめた函館短大名誉教授の松田賢一さんが編さんを担当し、書庫に眠る資料を掘り起こすなどして、約4年がかりで完成させた。

 設立の経緯によると、一夜にして函館市内の3分の1を焼失した1934年3月21日の函館大火で、全国から寄せられた義援金の一部を資本金として、市役所内に財団法人函館共愛会が誕生。初代理事長に当時の坂本森一市長が就任し、社会事業団体として住宅や託児所の建築・経営、貧困者や失業者の救済などを担った。

 1937年には、託児所や図書館、簡易食堂などを備えた、当時最先端の近代的な鉄筋コンクリート造の「共愛会館」を新川町に開設。現在の保育事業につながる託児所の歴史、1952年の社会福祉法人への組織変更、1956年の共愛会病院開設と2019年の医療法人徳洲会への事業譲渡、高齢者福祉事業への参画など、法人のこれまでの歩みや歴史を振り返っている。

 座談会は、同法人の保育園に長く勤務した元保育士4人を迎え2020年に開催したときの模様を昔の写真も交え、15ページにわたって収録。大火後の函館で臨時保育所を開いた東京職業婦人会から、谷地頭保育園の事業経営を無償譲渡された際の文書など、歴史を物語る資料の一部は巻末にカラーで載せている。

 A4判201ページ。200部を発行。90周年記念事業の一環として、移転改築したかめだ認定こども園の落成記念式典でお披露目し、関係者に配布した。函館中央図書館にも寄贈。残部はなく、市民は同館で借りて読むことができる。

 法人本部は、現在の中島町から、宮前町の同園内に移転し、4月28日から新しい建物で業務を始めたばかり。完成した記念誌を手に種田理事長は「今までまとまったものがなかったので、このような形で公開でき、後世に残すことができて良かった」と話している。

提供 - 函館新聞社

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