旧相馬家住宅、東京の不動産業に売却 貴重な建物保全へ

update 2025/2/6 07:45


 函館市元町の国指定重要文化財「旧相馬家住宅」(東出伸司代表)が、不動産クラウドファンディング(CF)事業を行う「LEVECHY(レベチー、東京、高将司代表)」に売却したことが5日までに分かった。レベチーは市内でホテルを運営する企業と協業するとともに、同住宅の運営資金を一般投資家から集めて住宅の取得費や維持保全に充てていく方針で、今月末をめどに正式発表する予定。

 旧相馬家住宅は、幕末明治期に財を築いた豪商・初代相馬哲平(1833〜1921年)の私邸として明治末に建造。解体の危機にあった2009年、市内で不動産業を営む東出さん(85)が取得し、翌10年から一般公開した。これまでに約2億円の私財を投じて建物の修復に充てたほか、小玉貞良や蠣崎波響らの美術品などを並べ、相馬哲平の心意気を現代に伝えてきた。18年12月に主屋と土蔵が重文に指定されている。

 東出さんは自身の体力や年齢を考慮し、80歳をめどに同住宅の譲渡を模索したが、コロナ禍の影響などもあって難航。23年から市教委や親しい知人などに相談するなど動きを本格化させた中、市内豊川町で倉庫をリノベーションした「NIPPONIA HOTEL(ニッポニアホテル)函館 港町」を運営するバリューマネジメント(大阪、他力野淳社長)が興味を示し、レベチーに相談。国の承認を経て、東出さんとレベチーが今年1月に売買契約を結んだ。東出さんによると、売買額は約1億円としている。

 引き渡しは4月末の予定で、レベチーが設立申請しているSPC(特定目的会社)が建物を所有し、バリューマネジメントが管理運営を担当。従前通りの一般公開に加え、重文に指定されていないカフェ部分(約660平方メートル)をリブランディングし、25年春以降宿泊施設に改修する計画といい、重文に宿泊できることで付加価値の高い施設とする考えだ。

 レベチー広報は取材に対し「地方で生かされていない物件の活性化や、不動産の流動化を目指して会社を設立した経緯があり、日本文化を伝える貴重な建物が運営できなくなる状態を避けたかった」と購入の意図を説明。引き渡しを受けた後は「不動産投資CFで投資家を募集したい」としている。

 東出さんは売却後の運営には携わらない。「寂しい気持ちはあるが、手放すのは致し方ない」とした上で「15年はあっという間だった。手作りで運営してきた中、支援者でつくる『ひいらぎの会』の協力や、リピーターの方々の存在が私の力になった」と感謝している。

提供 - 函館新聞社

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