ヨット日本人初挑戦、南北海道外洋帆走協会北田さん
update 2018/11/3 07:30
函館市の南北海道外洋帆走協会に所属する北田浩さん(54)が4日、フランスで開幕し、大西洋を横断する国際ヨットレース「ルート・デュ・ラム」(約6560キロ)に日本人として初挑戦する。4年に一度のビッグレースで、単独、無寄港、無援助が条件。少なくともゴールが1週間以上掛かり、過酷を極める。北田さんは「日本の若きヨットレーサーに挑戦する大切や日本では経験することのできない感動を伝えたい」と意気込む。
レースは6つのカテゴリーがあり“相棒艇”「貴帆」でクラス40に出場する。フランスのサン・マロをスタートし、カリブ海にあるフランス海外県のグアドループがゴール。クラス40には約50艇が出場し、着順で勝敗を決める。
青森県出身。会社経営で働き詰めの日々から切り替えの必要さ感じた中、ヨットの美しさに魅せられて40歳の時に約10メートルのセーリングクルーザーを購入。同協会と、むつ協会(青森県)の青函を拠点とし、2010年には沖縄県から愛知県までの「沖縄東海レース」に出場。国内にとどまらず、13年には米ロサンゼルスからハワイまでの「トランスパック」(約3700キロ)に8人のクルーともに挑戦。2位の好成績を収めた。
「自分の可能性を試したかった」とソロレースが盛んな欧州への参戦を決意。16年には大西洋単独レースで最も過酷で危険とされる「ザ・トランザット」(英プリマス−米ニューヨーク)に参戦。風速15メートル以上の気象に苦しめられながらも日本人として初完走し、大きな注目を浴びた。
常に危険とも隣り合わせで、カナダケベックからフランスサン・マロまでを渡る「トランザット」では12メートルの船体と同等のクジラと衝突。「冷や汗が出た」といくつもの苦難も乗り越えてきた。
レース中はセール上や発泡ビーズが入った大きなクッションで寝ることが多いという。食糧もドライフードがほとんどだが、今回は函館名物のイカ飯を用意。「ドライフードだと飽きるので、イカ飯が楽しみ」と話す。船内では電話、電子メールをしながら仕事をこなしている。ヨット乗って10年以上だが「船酔いに苦労するが、お気に入りの酔い止めを飲んでいる」と話す。
今レースへの準備も怠らない。「54歳になるのでジムに行ってコアトレーニングを主体にけがしないような体作りを心掛けている」と体力維持に努め、ザ・トランザットに続く日本人初完走を目指す。「今までやってきた航跡を残せたらいいと思う。自分にとってのヨットという競技の答えが見つからないのでやめられない」と、まだまだオーシャンセーラーとしての歩み続ける。
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