全盲スイマー山本さん、強化指定選手入りへ練習に熱
update 2018/9/1 07:31
函館在住で2020年東京パラリンピック出場を目指す全盲の水泳選手、山本浩二さん(29)が、今月末に神奈川県横浜市で開かれるジャパンパラ水泳競技大会に向けて練習に励んでいる。パラリンピック開催まで2年を切り、代表選考へのチャンスも残りわずか。「焦りがないとは言えないが、できるところまでをやるだけ」と、選考の第一歩となる強化指定選手を目指して、追い込みをかける。
愛知県豊橋市出身。水泳は6歳の時に始め、網膜の異常で視力が低下する「網膜色素変性症」で中学3年時に競技継続を一時断念。筑波大在学中の24歳に病気の進行で失明も、大学講師との出会いをきっかけに障害者水泳を始めた。
練習は土・日曜を除いた平日、仕事終わりの約2時間で約4000メートルを泳ぎ込む。函館に赴任以降、応援しようと同僚ら有志が結成した「チーム山本」(河原塚由紀代表)が心強く、毎日の練習に交代でサポートする。
昨年9月にS11(視覚障害)クラスの男子100メートル背泳ぎで優勝、50メートル自由形は2位と好成績を残した。今年6月上旬に関東水泳選手権(埼玉県)では、100メートル平泳ぎで1分25秒95(短水路)と自己ベストを更新して優勝。強化指定選手の標準タイム(1分23秒87)に2秒台に迫った。
「タイムが思うように伸びていない。厳しい状況」。伸び悩んでいた中、8月10日にロンドン五輪、バタフライ元日本代表の金田和也さん(30)=法政大コーチ=から特別指導を受けた。「体幹の使い方を教えてもらい、コツをつかんだ」と好感触をつかんだ。
金田さんは「腕、胸、背中、腹筋と連動した泳ぎができれば、十分可能性がある。何より、こんなにサポートしてくれるメンバーがいることが大きい。まだまだ伸びる」と期待する。
東京パラリンピック開催まで2年を切り、強化指定を得るチャンスはあと6回ほど。さまざまな種目に挑戦してきた中で、標準記録を切れる可能性の高い「平泳ぎ」に絞って勝負に出る。
ターンやゴールの合図を専用の棒で知らせる「タッピング」など、「チーム山本」に物心両面で助けられた。「仕事で忙しい中、サポートしてくれる。期待に応えられるよう全力を尽くしたい」と感謝を口にする。「今回代表に漏れたとしてもやめるつもりはない。チャレンジする気持ちで、納得のいくレースをしたい」と、固い決意でこれからも練習を続けていく。
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