彫刻家の流政之氏死去 道南各地に多くの作品残す
update 2018/7/18 07:17
2001年9月の米同時多発テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル前に設置された「雲の砦(とりで)」などで知られる彫刻家の流政之(ながれ・まさゆき)氏が7日午前、老衰のため死去した。95歳だった。葬儀は本人の希望で行わなかった。
長崎県生まれ。第2次大戦から復員後、独学で彫刻を学び、作品の深い精神性が国内外で高く評価された。
道南各地にも数多くの作品を残した。03年にはJR函館駅連絡通路の「きのうの敵はあすの友 箱館解放1868年」を手掛け、高田屋嘉兵衛や土方歳三、青函連絡船、歴代駅舎などを1165枚の陶板レリーフで表現した。
旧海軍では零式艦上戦闘機(零戦)のパイロットとして終戦を迎えた。七飯町東大沼で監修した彫刻公園「ストーンクレージーの森」で06年8月に、戦死した仲間を追悼する巨大石による作品「もどり雲」が完成。JR北海道会長の故坂本眞一さんが呼び掛けて、戦友の茶道裏千家大宗匠・千玄室氏(95)との再会が実現した。
10年8月には、もどり雲の前で「函館・大沼平和の祈り」が開催され、流氏が作った点茶盤で千氏がたてた茶をささげた。裏千家淡交会函館支部で当時、幹事長だった鈴木宗文参与は「大宗匠と流先生にお座りいただく場所の準備のため、何度も大沼に通いました。当日の朝までものすごい雨でしたが、野だてのころには見事に晴れたことを思い出します」と話していた。
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