規制委の審査注視へ、大間差し止め訴訟提訴4年
update 2018/4/2 07:25
函館市が国と電源開発(東京)に対して起こし、東京地裁で係争中の大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟は、3日で提訴から4年を迎える。これまで15回の口頭弁論が行われ、市側は同原発の具体的な危険性について主張を続けている中、市民団体が函館地裁で起こした民事訴訟が原子力規制委員会の審査中であることを主な理由として原告の訴えを退けた。市の訴訟も今後、規制委の審査状況を注視しながら進んでいくことになりそうだ。
市はUPZ(緊急防護準備区域)の半径30キロ圏内に位置する一方、原発建設の同意手続きを求められておらず、避難計画を策定しなければならない現状に異議を唱え、2014年4月3日に東京地裁に提訴。同年7月の初弁論には工藤寿樹市長が出席して意見陳述を行った。
訴えは@国に対して原子力設置許可の無効を求めるA市が同意するまで建設停止を命ずるよう求める―の2点。電源開発が14年12月、規制委に原子炉設置変更の許可を申請したことを受け、@は申請を許可しないよう求める内容へと変更した。
当初は原告適格(=市が訴える資格)の可否が焦点となっていたが、同年12月の第3回弁論で増田稔裁判長(当時)が判断を留保。以降、新規制基準の問題点をはじめ、市側は基準地震動や海底火山噴火の可能性、テロ対策の脆弱さなど具体的な危険性を挙げて裁判を進めている。国側は規制委の審査が継続していることから新規制基準の概要説明が中心で、双方の主張内容がかみ合っているとは言い難いのが現状だ。
市側の弁護団は大間原発訴訟の会(竹田とし子代表)が起こした民事訴訟と重なっており、市側は民事訴訟とも連動させながら訴えを展開していたが、今年3月19日の函館地裁判決は「規制委の審査中であり、運転開始のめどが立っていない現時点で、重大な事故が発生する危険性を認めることは困難」と原告の請求を棄却。同27日には原告側が控訴し、新たな局面を迎えている。
函館地裁判決ではフルMOXの是非や活断層の有無など、安全性についての具体的な判断を避けており、規制委による審査の終了前に裁判所が危険性を判断する可能性は低まったとの見方がある。ただ、民事訴訟とは異なり、市の訴訟は同意権や実効性のある避難計画の問題に主眼を置いている。市は「今回の判決が市の裁判に直接的な影響を及ぼすとは思わない」とする。
口頭弁論は5月14日、8月29日の実施が決まっている。弁護団は今後について「東京地裁は規制委の審査を慎重に眺めて、結論が出てから判断しようという方向性になるだろう」とした上で、函館地裁判決について「我々が立証したことの痕跡はずいぶん残っている。今後仮に規制委の審査が進んで合格となった時に追及できる武器になる内容を含んでいる」としている。
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