灯油価格高騰続く 函館市、福祉灯油の実施「困難」
update 2018/2/23 07:32
函館市内で灯油販売価格の上昇が止まらない。市がまとめた9日時点のホームタンク用灯油1リットル当たりの平均価格は、前月比3・14円高の93・51円で、5カ月連続の上昇。100円の大台を突破した2008年度に市は、低所得者などを対象に灯油購入費を一部助成する「福祉灯油」を支給したが、現状の厳しい財政状況を受け、本年度の実施は困難となっている。
「雪かきと灯油が高いのとで、この冬は何もいいことがない。懐も体も厳しいよ」。少しでも安く灯油を手に入れようと、1月に定期配達からガソリンスタンドでの購入に切り替えた市内無職の玉井幸次郎さん(69)はため息をもらす。
2月の灯油価格は前年同月と比べて11・06円高く、3年2カ月ぶりの水準。ガソリン価格も値上げ基調が続き、2月のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均価格は同2・60円高の145・80円で、15年1月に146・89円となって以来の高値となった。
市は、灯油1リットル当たりの平均価格が一時135円台を付けた08年度に福祉灯油を実施。国の特別交付税の措置もあり、住民税非課税の世帯など約8300世帯に各5000円を助成した。ただ、同様に100円台を突破した12〜14年度は、福祉灯油を支給していない。
市保健福祉部管理課によると、人口20万人以上の中核市は、福祉灯油事業で道から補助が受けられず、単独で全費用を負担する必要があるという。前回と同じ基準で実施した際は約4000万円の財源が必要となり、新年度予算で減債基金から5億円を繰り入れることを踏まえると「100円台になったとしても助成は困難」(同課)なのが現状だ。
全国の石油価格の動向を調査する石油情報センター(東京)は、先行きについて「直近では円高傾向にあり、原油の価格は下がることが予想されるが、値下げは小幅で高値の状態はしばらく避けられないだろう」とみている。
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