「火山ガイド」上では立地不適 市が主張 大間訴訟
update 2018/2/10 07:33
【東京】函館市が国と電源開発(東京)に対し大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めた訴訟の第15回口頭弁論が9日、東京地裁(林俊之裁判長)であった。市側は、同原発周辺にある海底火山の存在を踏まえ、原子力規制委員会が定めた規制基準の内規「火山影響評価ガイド」に忠実に当てはめた場合に、同原発は立地不適と主張した。
市側の弁護団は、函館の海底に存在する「銭亀カルデラ」の噴火の可能性を考慮するよう指摘し、訴訟の争点の一つに挙げている。約5万〜3・3万年前に1度だけ噴火しているが、電源開発は銭亀カルデラに関し、将来の活動の可能性を認めていない。
この日の弁論で市側は、阿蘇山の巨大噴火への対応を理由に四国電力伊方原発の運転差し止め仮処分を命じた広島高裁判決(昨年12月)を例に主張。原告弁護団の大河陽子弁護士は「(高裁判決は)火山事象の影響評価について基準適合判断が不合理とし、火山ガイドに忠実に当てはめている」と評価するとともに、電源開発の姿勢を「火山ガイドを恣意的に拡大解釈しており、適応していない」と批判した。
さらに、銭亀カルデラが噴火した場合について、風向き次第で100センチ以上の火山灰が積もることになりかねないと主張。市側は「電源開発は原発敷地が風下となるようなシミュレーションを行っておらず、安全性が確保されるとは考えられない」とした。
被告の国側は避難計画の法令上の位置づけなどについて説明。計画は地方公共団体が策定するものだとした上で「規制委は各地域の実情には精通しておらず、実情に合った避難計画かどうかを判断することは困難」とし、市の主張を「我が国における法体系を無視している」とした。
市の裁判とは別に、市民団体が函館地裁で起こした訴訟の判決が3月19日に言い渡される。原告弁護団の中野宏典弁護士は裁判後の市民集会で、今後の見通しについて「函館の判決内容をある程度踏まえて進んでいくのでは」と話した。
次回は5月14日午前10時半から開かれる。
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