歴風文化賞に6件
update 2018/2/2 08:09
函館の歴史的風土を守る会(歴風会、佐々木馨会長)は、第35回歴風文化賞に「函館どつく函館造船所第一本館」など建築物4件、1団体、1風景を選定した。
同賞は1983年度に創設。建造物自体の貴重性や歴史性、街並みへの波及効果などを基に選考している。
「保存建築物」として受賞した第一本館は、1935(昭和10)年築の鉄筋コンクリート造り4階建て。柱が地上から軒先まで伸び、堅固で重量感ある外観が特徴。役員室や大ホールなどが創建時のままで使われ、昭和初期の建物を知る数少ない建築物であると評価した。
「再生保存建築物」は3件を表彰。「沖野幸一邸」(谷地頭町27)は、約80年前に建築された数寄屋造りの木造平屋建て住宅。歴史ある住宅の再生が地域にとって意義を持つと考えた沖野さんが、2010年から1年かけてリノベーションを実施。和風住宅の歴史を知る上で貴重な建物だとした。
「福士博司邸隣接の土蔵」(青柳町13)は1906(明治39年)建築。創建当時は護国神社坂上にあったが、約30年後の区画整理事業により、建築物をそのままの状態で現在地に移動。壁や屋根瓦など4回の補修で美しい姿を今にとどめ、明治末期の蔵の歴史を伝える重要な建築物だと評価した。
「BAR hanabi」(宝来町34)は、明治末期に建築。着物などの保管に使用されていた土蔵を2010年にバーとして改装した。増築した風除室は蔵と調和するようデザイン。2階の壁に石材の継ぎ目が露出しているのが特徴で、創建当時の面影を残しながら、しっかりと再生しているとした。
団体賞は、1997年設立の「福島町史研究会」(中塚徹朗会長)。会員13人が福島町の歴史を調査、研究している。松前藩主らが通った山道を歩く「殿様街道探訪ウォーク」では会員が、侍姿などで歴史を説明。2001年から始まった取り組みは通算25回を数え、研究成果を広める活動を高く評価した。
後世に残すべき原風景には、西部地区の「大三坂」を選定。坂の両側に歴史的な和洋の家屋と教会が並び、異国情緒を感じさせる石畳の坂。街路樹のナナカマドは、春の若草色から夏の濃い緑、秋は紅葉と四季折々に彩り、函館の原風景であると宣言した。
表彰式は16日午後6時から、五島軒本店(末広町4)で開催。式後には「函館の町並みを美しくする新春チャリティーパーティー」を開く。会費は5000円で、9日までに申し込む。問い合わせは同会監事の対馬誠さん(090・6214・8191)へ。
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