七飯産リンゴの花から酵母、焼き菓子に加工
update 2018/1/23 08:16
七飯町産のリンゴの花を原料とした酵母を使った新しい菓子が誕生した。酵母は函館工業高等専門学校物質環境工学科5年生の藤山聖梨さん(20)が卒業研究の一環で抽出し、発酵菓子や野菜ソースの製造販売「pippin(ピピン)0138」(七飯町鳴川)の八島美加さん(51)が商品化。函館高専発の研究成果と七飯産リンゴが生み出す地場由来の新スイーツとして、注目を集めそうだ。
藤山さんを指導する小林淳哉教授の研究グループでは、これまでに菜の花由来の酵母と地場の酒造好適米を使った純米吟醸酒「函館奉行」を商品化している。藤山さんの研究では、パンの発酵に適した花由来の酵母を探し、リンゴ、ウメ、ライラック、菜の花、シバザクラの5種類から抽出、培養し、2段階の試験で適性を調べた。
最初の試験では、シバザクラと日本酒酵母としては相性が良かった菜の花が落選。残る3種で生地の膨張力を調べた結果、ライラックはうまく膨らまなかった。ウメとリンゴにパン酵母の適性があることが分かったが、七飯で栽培が始まり約150年の歴史を持ち、地域密着の商品としてのストーリー展開がしやすいリンゴを採用した。
一方、リンゴ酵母での商品化の依頼を受けた八島さんは、函館地域産業振興財団の本年度の創業バックアップ助成金の採択を受けて、昨年9月に開業したばかりで、動物性食材を避ける「ヴィーガン」向け食品の製造を手掛ける。八島さんは「屋号のピピンはリンゴの種の意味。七飯のリンゴを使ったものをという思いを持っていた。リンゴの酵母で作ったおいしいものを道内、国内、海外へと販売していけたら」と話す。
酵母から約1カ月掛けてリンゴの香り漂う生地の元種を作り、「りんごのカルダモンケーキ」「りんごとくるみのスコーン」など4種類の菓子に仕上げた。いずれも「発酵力、味、風味に問題はなく、フルーティーになる」(八島さん)とし、22日に試食した藤山さんも「どれもおいしく、すごいです。(研究段階で)私の作ったパンには雑味もあったが匂いもすっきり」と満足し、「酵母の形で発酵力に違いがあるので、その関係性を調査していく」と話した。
八島さんは24日には、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町)の水曜マルシェで販売予定で、その後も土曜日を中心に市内で商品を販売。3月開業の「道の駅なないろ・ななえ」でも扱う予定。
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