洋上風力 実現へ加速 松前・桧山沖 再エネ促進区域指定
update 2026/1/1 07:26
国が進める洋上風力発電事業で、松前沖と桧山沖(上ノ国、江差、八雲、せたな)が再生可能エネルギー(再エネ)海域利用法に基づいた事業者選定や整備が可能となる「促進区域」に指定され、事業化に向けた動きが本格化している。国のエネルギー政策の柱と位置付けられる洋上風力を生かして、産業創出と地域振興につなげられるかが道南にとって大きな焦点となっている。
発電事業者を選定へ
促進区域は、同法に基づき、国が洋上風力発電の導入を重点的に進める海域。松前沖、桧山沖はいずれも2023年5月に前段の「有望区域」に指定され、その後、国主導の法定協議会で自治体や漁業関係者らが協議を重ねてきた。その結果、昨年7月に促進区域へ格上げされ、今後は発電事業者の公募、選定が段階的に進む見通しだ。
両海域は良好な風況に恵まれ、促進区域の指定によって設備設置を見据えた具体的な事業計画の検討が可能となる。関連投資や企業参入の加速が期待される中、道は事業者向けフォーラムの開催などを通じ、情報発信や受け入れ環境の整備を後押ししている。
電力の出力が国内最大級の114万キロワットが見込まれている桧山沖では、桧山振興局が昨年7月、脱炭素や洋上風力など次世代産業に対応する専門部署「GX(グリーン・トランスフォーメーション)産業推進室」を新設。地元企業の参入を支援し、関連産業の裾野拡大による地域経済の活性化を狙う。
産業創出の好機
構成町の一つ、上ノ国町は風力発電を軸とした再生可能エネルギー推進を、町の長期的な重要戦略に位置付ける。工藤昇町長は洋上風力を「地域振興の千載一遇のチャンス」とし、建設や保守・点検を担うサプライチェーン構築や人材育成に意欲を示す。トレーニングセンターなど風力関連産業の町内誘致を進める方針も示した。
江差町でも官民一体の組織が立ち上がり、事業への関与を通じた地域主体の取り組みを強めている。
松前沖を抱える松前町も再エネを地域づくりの中核に据える。町は東急不動産と連携し、地域エネルギー会社の設立など脱炭素社会を見据えた取り組みを進めてきた。円滑な事業推進に向けた受け入れ態勢整備に力を入れる構えだ。
また、北海道電力などは洋上風力発電に関するメンテナンス人材の育成施設を江差町や函館市に整備する計画も打ち出した。
洋上風力は稼働後も点検や補修など継続的な需要が見込まれる一方、漁業との共存や環境、景観への影響といった課題も残る。先進地の秋田県や千葉県では、建設コスト高騰を背景に事業撤退の動きもあり、不安要素もぬぐい切れない。その中で再生可能エネルギーを地域の力に変えられるか。今年以降、松前沖、桧山沖での事業進展は、道南全体の将来像をも左右する局面を迎えている。
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