函館港のブイ姿消す 青函連絡船時代からの運航の目印
update 2020/9/19 07:14
函館港で長年にわたって船舶運航の目印の役目を担ってきた海上保安庁のブイ2基が18日、撤去された。ブイ撤去は若松埠頭(ふとう)に大型クルーズ船がスムーズに着岸できるようにするため、26日に予定される航路変更に先立つもの。これまで大型クルーズ船は港町埠頭などに入港していたが「ハード面の整備と併せて、朝市の前に大型クルーズ船をお迎えできる準備が整った」(土屋康二函館海上保安部長)と、函館港は面目を一新することになる。
今回撤去されたブイは2011年製の「第4号」と、1985年製の「第2号」で、いずれも高さ9・5メートル(水面上約5メートル)、重さ約5トン。青函連絡船を運航していた旧国鉄が1927(昭和2)年と1950(昭和25)年に設けたものを受け継いで海保が設置したが、航路の変更により不要になる。
撤去作業は、航路変更後にブイが残る事態を避けるため、悪天候などによる作業の遅れを考慮に入れて、航路変更の8日前に済ませることになった。作業は午前5時半ごろから行われ、菅原組(函館市)の起重機船「第七すがわら号」が第4号と第2号ブイを吊り上げて陸揚げし、午前10時ごろに終えた。
函館港の航路変更は国土交通省令である港則法施行規則に基づくもので、2005年以来15年ぶり。今回は、西防波堤と北防波堤の間にあり、多くの船が入港する「第一航路」を新たに「南航路」として形状を改め、かつて青函連絡船の優先航路としての役割を担っていた「第二航路」を廃止する。第二航路は第一航路と約45度の角度でつながり、小回りがきかない大型船が入港する際の障害となっていた。このほか、北防波堤と北斗市七重浜の間の「第三航路」は「北航路」に改称する。
また、省令に盛り込めない細かいルールについては函館港を利用する船主企業や官公庁、自治体など40団体でつくる関係者会議が議論を重ね、安全運航のための「自主ルール」を18日に採択した(26日発効)。土屋部長は「海運関係者が一つになってルール作りが実現した。市のポートセールスでも安全性のアピールに活用してもらいたい」と話している。
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