スルメイカ漁終了 生鮮イカの市場取扱過去最低に
update 2020/2/4 07:38
道南スルメイカ漁が1月末に終了し、函館市水産物地方卸売市場での今季の生鮮スルメイカの取扱量が、統計が残る2005年以降、過去最低を更新する749トン(速報値)にとどまったことが、市農林水産部のまとめで分かった。これまでの最低数量だった前年同期に比べ89トン(10・6%)の減少。漁期終盤に漁獲が続いたが、前年を上回ることはかなわなかった。
今季(昨年6月〜今年1月)の同市場での生鮮スルメイカの1キロ当たりの単価は、同22・2%増の852円で、統計開始以来、過去最高値となった。数量は過去最低だったにもかかわらず、取扱金額は同9・3%増の6億3791万円と高値で着地した。
今季は前年同期に比べ、昨年12月以降も漁が続いたのが特徴。月別にみて前年を上回ったのは6、11、12、1月の4カ月で、特に1月は前年が0トンだったのに対し、今季は25トンの水揚げがあった。しかし、夏場の漁獲低迷が響いた。
ある市場関係者は「12、1月と多少なりとも水揚げがあったから良かったが、結果は振るわなかった。例年なら8〜10月の一番捕れる時期にイカがなく、冷凍を含め、もはやどこで漁をしてもイカが捕れなくなっている」と先行き不安を口にする。
市は近年低迷が続く水産業を回復するため、今年度に入り、魚類の養殖技術の確立に向けた取り組みを加速している。1月には「市魚類等養殖推進協議会」が発足。今後、養殖事業の先進事例を学んでいく方針で、漁業者の経営安定につながるか、成果が期待される。
中島廉売内の鮮魚販売店「紺地鮮魚」の紺地慶一代表(57)は「養殖も良い考えだと思うが、スルメイカの漁獲減は、好漁場での他国の乱獲も影響しているという話も耳にする。資源保護に向けた対策も強化してほしい」と話す。
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