函館ゆかりの「河童画伯」植木さんの常設展示室 五稜郭タワーで開設

update 2020/3/24 07:38


 五稜郭タワー(中野恒社長)は、タワー低層部2階に絵画展示室「植木蒼悦ギャラリー」を開設した。函館出身で赤光社会員などで活躍し、河童(かっぱ)をモチーフとした北海道有数の水墨画家、植木蒼悦(本名・悦郎、1896〜1982年)の画業を紹介している。

 植木氏は明治大入学後、日本水彩画会研究所で洋画技法を学び、学生時代に二科展で2年連続(1914、15年)入選。税関職員となり道内や九州、大連(中国)で勤務する中、独学で絵画技術を研さん。しかし、小樽で交流のあった「蟹工船」作者のプロレタリア文学小説家、小林多喜二が特高警察に逮捕され、拷問死したことを知り退職。33(昭和8)年に函館に戻り、高校の美術講師を勤め、書道や俳句にも取り組む中、赤光社への出品を続けた。作品を売ることを拒み、71年には函館市文化賞を授与された。

 「河童画伯」とされるほどで、五稜郭タワーの木村朋希室長は「河童は田畑を守るとされ農民からあがめられていた。反戦主義者の植木氏にとって、国家に抵抗する存在として自身を河童を見立てたといわれる」と話す。

 孤高で清く貧しくを貫いた植木氏の作品は長万部町にある「植木蒼悦記念館」で公開しているが、同社の中野豊会長が感銘し、函館市の美術品コレクター、江成勇男さんから作品群450点を譲り受けた。現在は「啓蟄(けいちつ)」など15点を展示。清楚な筆線で強い生命力を感じさせ、青など淡泊な色を使いながら剛健な河童のさまざまな姿が並んでいる。季節により入れ替えをする。

 木村室長は「函館の文化の象徴的存在な植木氏の作品を散逸させず、市民に芸術観を知ってもらえる場とした」と話し、来場を呼び掛けている。

 観覧無料。開館時間は営業時間と同じ。問い合わせは同社(0138・51・4785)へ。

提供 - 函館新聞社

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