駒ヶ岳ファンクラブが「全国駒ヶ岳の民俗誌」発行
update 2020/1/5 07:23
全国各地の「駒ケ岳」に親しむ山岳文化団体「駒ヶ岳ファンクラブ」(田口計介会長)は団体創立30年を記念して「全国駒ヶ岳の民俗誌」を発行した。森町など3町にまたがる北海道駒ケ岳から、福井、滋賀両県の若狭駒ケ岳まで全国の「駒」にまつわる伝説や歴史をまとめた。
同会は1989年に発足し、全国に約60人の会員が在籍。登山だけではなく、地域にも目を向けた研究活動を「駒ヶ岳遊び」と称して親しんでいる。これまでの活動で、国土地理院発行の地形図掲載の「駒ケ岳」に加えて、古い文献などからの掘り起こしを進め、全国に30の「駒」があることを突き止めた。「駒ヶ岳30座ハンドブック」など、会員による出版物は12冊になるという。
東北では奥羽山脈沿い、中部地方では日本アルプス沿いに、「駒」が多く見られる。山の名の由来は主に▽春先に山ノ側面に映し出す馬(駒)姿の雪形▽坂上田村麻呂、織田信長ら武将の神馬伝承▽馬の背と見える山容−などに分類できるという。
今回の執筆に数年を要した田口会長(80)=横浜市=は「駒がある自治体の図書館はほとんど回り、調べたり、話を聞いたり、古い文献などは国立国会図書館も利用しながら調べたが、古老や郷土史研究家に聞いても情報が少ない駒ケ岳もあった」と話す。
道南の駒ケ岳は、道内唯一の駒。民俗誌では森町の縄文遺跡、鷲ノ木遺跡との関連、アイヌ民族との関わり、箱館戦争時に旧幕府軍とともに戦ったブリュネ大尉のスケッチ、噴火の歴史など、さまざまな話題を書いた。幕末明治期に道南を訪れた外国人では、トーマス・ライト・ブラキストンが駒ケ岳を「スタリオン(種馬の)マウンテン」と呼んだことや夕日に照らされた山腹を「バラ色と紫色に染まった所は往々素晴らしく、美しい」と書き残したことを紹介している。
このほか、大駒ケ岳(青森県)、甲斐駒ケ岳(山梨、長野県)木曽駒ケ岳(長野県)など英国人宣教師で登山家として知られるウォルター・ウェストンと関わりのある「駒」、ゆかりの神社や山岳信仰との結びつきなど、それぞれに個性的な話題が多い。
B5版170ページ。200部発行。関係者に配布したほか、近く、駒ケ岳関係自治体の図書館などにも寄贈する。
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