川口さん大学在学中に公認会計士合格 函商高OB、会計ビジネス科から初

update 2019/1/18 07:13


 函館商業高校会計ビジネス科の3期生で、現小樽商科大商学部4年の川口颯汰さん(22)がこのほど、公認会計士試験を受験し、大学在学中に合格する快挙を成し遂げた。同科の卒業生では初の合格者となる。

 同試験は、マークシート方式の「短答式」と筆記形式の「論文式」に合格する必要がある。川口さんは2017年12月に短答式、18年8月に論文式を受験し、同11月に合格が発表された。公認会計士・監査審査会(東京都)によると、全国で1万1742人が受験し、1305人が合格。合格率は11・1%だった。

 川口さんは、中学2年時に公認会計士という職業に興味を持った。「国語や数学を生かして将来長く務められる仕事に就くのは難しい」と、同校を卒業してから同大へ入学し、卒業後は金融機関で働きながら公認会計士を目指すという進路を思い描いていた。

 大学在学中の資格取得を志す転機となったのは、大学1年時、入部していた野球部の練習中に発症した「椎骨動脈解離」。重症化すると、くも膜下出血や脳梗塞に進行することもある。川口さんは早期発見によって一命をとりとめることができたが、「再発して両親に心配をかけたくない。恩返しをせずに命を落とすわけにはいかない」と在学中の資格取得を目指した。

 2年時に、大学に通いながら日商簿記1級と全経簿記上級にも合格。その後は、社会人も通う資格取得の専門予備校「TAC(タック)」の札幌校にも入校し、早期の資格取得に奮起。「難問が多く、試験後も不安な気持ちだったが、高校での土台固めや野球で鍛えたメンタルで最後まで食らいつくことができた」と振り返る。

 同高の大庭隆校長は「記録にも、記憶にも残る快挙。後輩たちの励みになれば」、石塚和久教諭は「人材が少なく、引く手あまたな業界。広い視野を持って頑張ってほしい」とエールを送った。

 川口さんは大手監査法人の札幌事務所に内定が決まっており、勤務先で3年間の実務補修と修了考査を経て、正式に公認会計士となる。「自分が特化した業務を見つけたい。海外にも勤めてみたいが、最終的には北海道で働きたい」と目を輝かせた。

提供 - 函館新聞社

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