変貌続ける函館港 開港160年、さらなる発展へ
update 2019/1/1 07:53
江戸末期の1859(安政6)年、長崎・横浜と共に国内初の国際貿易港として開港した函館港。昨年10月に若松埠頭(ふとう)で客船専用岸壁の暫定供用が始まり、開港160年を迎えた今年は、過去最多となる約50隻のクルーズ客船を迎え入れる。世界的に有名な英国の豪華客船「クイーン・エリザベス」(9万900トン)も4月21日に接岸する予定で、これまで黒船や北洋漁業船団、青函連絡船などを見守ってきた港から一層のにぎわいが期待される。
函館港は天然の良港として古くから栄え、幕末の開港で港町には異国文化が花開いた。1908(明治41)年の国鉄青函連絡船就航で北海道と本州を結ぶ重要拠点としての役割を担い、北洋漁業の基地港としても繁栄。その後は、200カイリ漁業専管水域規制や造船不況など幾多の試練を乗り越えてきた。
市によると、函館港に初めてクルーズ客船が入港したのは1987(昭和62)年。翌年に廃止となった青函連絡船から海の主役を引き継ぐように、当時の関西汽船(大阪)が運航していた「さんふらわあ7」(7494トン)など6隻が訪れた。
世界的なクルーズ需要の増加などを背景に近年は年間30隻前後が入港し、2016年度から3年連続で道内最多を記録。今年の目玉の一つとなるクイーン・エリザベスは、20年も3回の寄港を予定する。
係留設備の強化工事が今年度完了する港町埠頭には、これまで函館に入港した客船として最大の「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5906トン)を上回るロイヤル・カリビアン社(米)の「クワンタム・オブ・ザ・シーズ」(16万8666トトン)が寄港。平成から元号が変わる5月1日の接岸を予定し、函館でも17万トンクラスの大型客船時代の幕開けを告げる。
一方、若松埠頭の客船接岸は、アザマラ・クラブ・クルーズ社(同)の「アザマラ・クエスト」(3万277トン)が初めてとなる見込みで、4月16日に予定する。他にも4万トン級までの客船が、JR函館駅から約300メートルの岸壁に複数接岸。函館朝市やベイエリアまでは徒歩圏で、乗客の利便性向上や経済効果が期待される。
市港湾空港振興課は「市民がクルーズ客船に興味を持つきっかけにもなる。おもてなしや歓迎ムードの高まりにつなげたい」と街なかに客船が入港することで生まれる相乗効果に期待を寄せる。このほか、郵船クルーズ(横浜)の豪華客船「飛鳥II」(5万142トン)は、初代「飛鳥」と合わせた函館の寄港回数が100回の大台に達する見込みだ。
同埠頭の本格供用が始まる見込みの22年度には旅客ターミナルも新設され、港町函館はさらなる発展に向けて変貌を続ける。
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