新幹線料金申請通り認可へ、運輸審議会が答申
update 2015/12/23 10:23
国土交通省運輸審議会は22日、来年3月26日に開業する北海道新幹線の特急料金について、石井啓一国交相にJR北海道の申請通り認可するよう答申した。新函館北斗―東京間の運賃と指定席特急料金を合わせた総額は、2万2690円となる見通し。石井国交相は早ければ24日にも認可する。
同社が申請した特急料金をめぐっては、同審議会が11月に函館市内で開いた公聴会で、3人の公述人全員が新函館北斗―新青森間(148・8キロ)の特急料金は、同程度の距離で比較すると全国の新幹線で最も割高だとするなど認可に反対を表明。同社は、青函トンネルの維持費や貨物列車との共用走行に伴う費用など、北海道新幹線固有のコストがあるとして理解を求めた。
同審議会は10月の申請提出以降、全11回にわたって協議。今月10日には同社から料金設定の根拠などを聴取した。
審議の中で、6人で構成する委員のうち一人は、提出された収支計算書で同社が共用走行にかかる費用を全額負担していることに異議を唱え「費用の一部はJR貨物が負担するもので、JR北海道の負担軽減分を料金の引き下げに用いるべきだ」としたが、同審議会は最終的に同社の厳しい経営状況などを考慮し、全国で最も割高となる特急料金の認可はやむを得ないと判断した。
答申では国交相に対する要望事項として、各種割引切符などの設定や、在来線の特急と同じ140キロに速度が制限されている共用走行区間の高速走行の早期実現などに際し、必要に応じて助言することが盛り込まれている。
全国で最も割高となることから注目が集まっていた北海道新幹線の特急料金は、開業3年間の平均で年48億円の赤字になるというJR北海道の厳しい財政状況に配慮し、認可される見通しとなった。JR北海道には割高の料金に十分見合う利便性の確保や割引料金の設定など、サービスの充実に向けた努力が一層求められる。
北海道新幹線新函館北斗―新青森間(148・8キロ)の大部分を占める貨物列車との共用区間は、最高速度が在来線の特急と同じ140キロに制限される。一方で、JR北海道が設定した同区間の特急料金3930円は、同じ距離で比較すると全国で最も高い。こうした背景から国土交通省運輸審議委員会が11月に開いた公聴会では、3人の公述人全員が認可に反対する異例の事態となった。
同審議会が申請から答申まで要した月日は2カ月。議論の回数11回は「鉄道料金の審議としてはあまり類がない」(同審議会)多さで、料金の妥当性をめぐって調整に難航したとみられる。
北海道新幹線は積雪寒冷地や高温多湿の青函トンネル内を走るほか、貨物列車との共用走行区間があるという全国初の特徴を持つ。とはいえ、安全輸送や定時運行は最低限のサービスだ。特に冬場の安定した運行は航空機と差別化を図る上で必須条件となる。
国交相に対する要望事項の中には、割引切符の設定に関する助言が盛り込まれた。航空各社はJRの動向次第で東京便の料金値下げを検討するとしており、価格競争での優位さをどれだけ打ち出せかが、利用拡大のカギを握っている。
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