買収、改装 開業へ動き活発…湯の川温泉 競争激化必至
update 2015/11/22 10:15
年間約130万人(2014年)の宿泊客が訪れる湯川地区。来春の北海道新幹線開業をにらみ、同地区では道内外に拠点を置く企業による宿泊施設の大規模改装やホテル買収が相次いでいる。旅館組合の地元業者はこうした動きを「活性化につながる」として歓迎する姿勢をみせるが、競争激化は必至。新幹線需要を逃すまいと首都圏などでPR活動を強化し、宿泊客の呼び込みを狙っている。
野口観光(登別)は11月に「湯元啄木亭」の改装計画を発表。12億円を投じて東館をリニューアルし、準高級ホテル「HAKODATE海峡(うみ)の風」として来年4月に開業する。トーホウリゾート(札幌)は19日、「平成館しおさい亭」「別館花月」のレストラン工事に着手。座席数を2倍にする計画で、来春の完成を目指す。
ノースグループ(札幌)は8月に「丸仙旅館」、オリックス不動産(東京)は10月に「ホテル万惣」をそれぞれ買収した。両社は老朽化した施設を一新するため、早ければ年内にも改装工事に着手したい考えだ。
道内外資本の企業による積極的な投資に対し、函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長)は、「みんなでスクラムを組んで一緒に湯の川温泉を盛り上げたい」と歓迎の意を示す。一方で、一部関係者は「ハード面の整備や国内外の宿泊客を呼び込む手法は大手にかなわない」とする。
現在、同組合に加盟する宿泊施設は17。青函トンネルの開通に沸いた88年と比べ、約3分の1まで減少した。バブル期は団体客中心の受け入れで成功したものの、景気後退に比例して宿泊客数は減少。近年高まる個人旅行客のニーズへの対応も遅れ、廃業する施設が急増した。
新幹線開業は約30年ぶりに訪れた大きなチャンスとなる。好機を生かそうと、同組合は昨年から首都圏を中心にプロモーション活動を展開中だ。金道理事長は「昔と違い、市内には湯川地区以外にも温泉宿泊施設がある。駅から10分、空港から5分という立地と歴史ある湯の川温泉の良さを多くの人に伝えたい」と話す。
同地区にとって現在追い風となっているのが、8月に開業した函館アリーナだ。アリーナから徒歩で移動できるという立地条件をPRし、同地区の宿泊施設は軒並み前年を上回る宿泊客を獲得している。
新幹線が開業する来年の宿泊客数について、同組合は昨年より30万人多い160万人を見込む。金道理事長は「増えた分をいかに持続させるかが大事。組合全体で従業員の再教育に取り組み、一丸となっておもてなしの質を向上させたい」としている。
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