恵山風力発電 廃止へ 維持修繕費の負担重く
update 2015/11/21 10:07
函館市は恵山地区で行っている風力発電事業を本年度末で廃止する方針を固めた。故障のため稼働を停止している2基の風車の修繕に4000万円が必要となり、来年度以降も修繕費が発生すると試算。廃止の場合は、建設時に受けた補助金の返還義務が生じるが、費用負担が最も少ないと判断した。
風車は旧恵山町の第三セクターが2002年4月に事業を開始したが、計画した売電収入が得られず、04年3月に自己破産した。同年12月の市町村合併で、市が事業を継承したが、その後も故障が相次いだ。
05〜14年度の10年間で、単年度収支が実質黒字となったのは10、12年度のみで、一般会計からの繰入金などで歳出超過を補っていた。風車の耐用年数(17年)以内で事業を廃止した場合、独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)からの補助金(約3億6000万円)に返還義務が生じるため、市は18年度までの事業継続を表明していた。
風車の1号機は昨年11月に羽根の角度制御機能が故障するなどし、2号機は電力制御基盤の不具合により、今年3月27日から稼働を停止した。修繕費は2基で4000万円、2号機のみの場合は1100万円と試算。16年度以降も継続して修繕費用が生じる。2基とも廃止した場合のNEDOへの補助金返還額は概算で6200万円、2号機のみを存続した場合でも2400万円と算定した。
過去の稼働実績を踏まえて18年度までの歳入や歳出を試算し、市の負担額を検討した結果、〜2基を修繕した場合は7292万円〜2号機のみを存続した場合は7442万円−補助金を返還し、本年度で2基とも廃止した場合は6527万円−となり、廃止の場合の費用負担が最少となった。
市は特別会計に関わる条例改正や返還額の予算計上などを来年2月の定例市議会に提出する考え。風車は倒壊など危険な状態ではないが、撤去費用も必要になるため、当面、現状のまま維持する方針。市経済部工業振興課は「耐用年数も近づき、経年劣化が進んでいるため、維持した場合でも売電収入に見合わず、維持費も掛かると判断した」としている。
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