歴史的建造物の老朽度調査、函館市が維持修繕計画を立案
update 2015/10/25 10:24
函館市は、西部地区の街並みを形成する歴史的な建造物の老朽度調査を進めている。建築の専門家が建物を確認し、今後の維持修繕に必要な計画を立案。築100年を超える建物も珍しくはなく、景観の保全と次世代への継承に向けて、適切な維持管理の手法を検討する。
弥生町や大町など120ヘクタールは市の都市景観形成地域で、ベイエリアと教会群が立ち並ぶ地域は文化財保護法に基づく伝統的建造物群保存地区に指定されている。120件を超える指定建築物(伝統的建造物、景観形成指定建築物)の8割が築90年以上、半数近くが築100年を超えている。市都市建設部まちづくり景観課は「西部地区の歴史的建物は、観光資源でもあって市共有の財産として守っていかなくてはならない」とする。
調査事業は、景観法に基づく市の景観整備機構指定団体「NPO法人はこだて街なかプロジェクト」(山内一男理事長)が実施。本年度は計11件が対象で8月末からこれまでに8件の調査を終えた。建物ごとの状況を把握した上で、今後の長期的な修繕スケジュール案や修理費用の概算額などをまとめ、所有者に提示する。
23日には基坂沿いの生田ステンドグラス(大町1)を調査。1909(明治42)年建築の木造2階建ての上下和洋折衷住宅で、92年に大阪本社の同社が取得し改修した。地階の工房に勤務する同社の小林政夫さん(51)は「歴史的な建物で店を続けることで、観光客に興味を持ってもらっている部分もある」と話す。
92年の改装では、洋式縦長窓から1階のテナント店舗に光が差し込むよう、2階部分は吹き抜けとしている。その後も外壁や屋根は修繕を加えているが、屋根のたわみなど傷みも目立つ状況となっている。
これまでの調査について山内理事長(67)は「ものすごく状況が悪いということはないが、目の届かない部分で傷みが激しいこともある。上手に修復の手を入れていけるようにしていきたい」と話していた。
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