新幹線開業3年で赤字年48億円
update 2015/10/20 10:22
来年3月26日に開業する北海道新幹線の収支見通しについて、JR北海道が開業当初の3年間(2016〜18年度)で、平均約48億円の赤字を見込んでいることが19日までに分かった。老朽化した青函トンネルの維持などに多額の費用がかかるためだ。支出に対する収入の割合を示す収支率は69・7%で、平均80%前後の他の整備新幹線と比べても低い水準にとどまり、多難な船出となりそうだ。
同社が国土交通省に提出した資料によると、実質的な開業初年度の16年度が約52億円、17年度約51億円、18年度約42億円のそれぞれ赤字を見込む。年平均の試算では、運賃・料金などの収入111億3800万円に対し、支出は159億7600万円。このうち、施設維持などの経費が78億6500万円と約半分を占める。
北海道新幹線は、他の新幹線にはない貨物列車との共用区間(約82キロ)を持つ。同社は「点検や補修は短時間で行う必要があり、大量の作業員を投入するため人件費がかかる」とする。また、同区間はレールが3本敷かれた三線軌条となっており、他の新幹線と比べて保守費用もかさむとみられる。
同省によると、今春開業した北陸新幹線で、JR東日本が試算した15〜17年度の収支率は87・3%。JR西日本は77・3%を見込んでいる。
一方で、新幹線開業に伴う江差線五稜郭―木古内間の経営分離で赤字が圧縮されるほか、新函館北斗から函館、札幌方面へ向かう在来線利用客の増加が見込まれることから、同社は「新幹線の収支は大変厳しいが、全体でみるとプラスマイナスゼロになると認識している。新幹線と在来線の利用拡大に努めたい」としている。
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