「洞爺丸台風事故」遺族会解散へ 最後の慰霊法要に60人
update 2015/9/27 10:23
【北斗】1954年9月26日に発生した洞爺丸台風事故の犠牲者をしのぶ62回忌の慰霊法要が26日、北斗市七重浜の「台風海難者慰霊碑」前で開かれた。主催団体の青函連絡船殉職者遺族会の富樫淳次会長(76)は本年度末で遺族会を解散すると表明。法要は今回で最後となる。
実働会員が高齢化し、組織維持が困難になってきたのが理由。近年は函館市内に在住する富樫会長ら7人が函館仏教会の協力を受けながら法要の準備、運営に当たっており、参列する遺族も年々減少していた。会員は全国各地に700人ほどいるとみられているが、「すべて掌握できる状態にない」(同会長)という。もともと60回忌の節目で終わる予定でいたが、来年3月26日の北海道新幹線開業を迎えるまで続けようと、内部で申し合わせていた。
雨の降る中行われた法要には、乗組員の遺族ら約60人が参列。僧侶が読経する中、参列者は碑に手を合わせ焼香した。
あいさつで富樫会長は「海難事故をきっかけに青函トンネルが掘られ開通した。来年3月には北海道新幹線が開通し、新たな歴史を迎える。これを一つの契機に遺族会も解散したい」とし、法要も今回で最後とする意向を示した。来賓で参列した逢坂誠二衆院議員(民主党)は「洞爺丸の惨事は忘れてはならない。これからも後世に語り継がなければならない」と述べた。
母と生後間もない弟を事故で亡くし、20年以上にわたり毎年参加している佐賀県小城市の唐島佳仁さん(64)は「これで終わりと聞き、非常に寂しい」と目頭を潤ませた。この日はまた、慰霊碑に近い七宝寺(七重浜)でも法要が行われ、遺族ら約50人が犠牲者の冥福を祈った。
洞爺丸台風の海難事故は函館湾上にいた同船をはじめ5隻が台風のため沈没。多くの遺体が七重浜に打ち上げられ、死者、行方不明者1500人余りに達した。
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