新幹線開業による効果を試算
update 2015/9/24 10:14
函館市まち・ひと・しごと創生推進会議の委員長を務めた函館工業高等専門学校の奥平理准教授は、17日に開かれた同会議で「交流人口の拡大と経済効果」と題して、予測される北海道新幹線開業効果などを公表した。新幹線の年平均乗車率が30%で、函館の観光客は約27万人増えると試算。定住人口の減少による経済効果の損失は、交流人口の拡大によって一定程度補える―とする試算をまとめた。
観光客数の増加は、10両編成(定員731人)の新幹線が1日13往復運行する前提で試算。平均乗車率30%での年間利用者は約104万人で、8割の約83万人が函館まで乗り継ぐと仮定した。
本州から函館までの鉄道利用者数の56万人(2013年度)を差し引いた約27万人が新幹線開業による増加分とし、開業後の来函入り込み客数は年間510万人を見込めるとした。奥平准教授は「仮に15往復になれば530万人に増え、平均乗車率でも数字は変わる」と述べた。
また、交流人口拡大による経済効果の試算は、立教大観光学部の清水慎一さんの論文を参考とし、定住人口1人当たりの年間消費額を124万円、訪日外国人客1人当たりの消費額を13万7000円、国内旅行者は宿泊客4万8000円、日帰り客1万5000円と設定。定住人口1人の減少分の消費は、外国人10人分、国内宿泊客26人分、日帰り客83人分に相当すると設定した。
函館の事例に当てはめると、2009〜14年の5年間に定住人口は2万4314人減少した。一方で、外国人旅行者が約16万人増えるなどした交流人口拡大分を定住人口に換算すると、2万1245人分に相当。人口減少の損失は実質3069人分まで圧縮できるとした。
新幹線開業は確実な交流人口の拡大を生み、人口減少分を補える経済効果が期待できると示したが、消費額などは国などの統計を根拠としているため、奥平准教授は「アンケートなどで実際の経済効果を求め、地元に合った数字に直していく必要はある」などと述べた。
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