函館市の地方版総合戦略、人口ビジョン素案まとまる

update 2015/9/22 10:15


 函館市は、地方版総合戦略「函館市活性化総合戦略」と将来の人口展望をまとめた「人口ビジョン」の素案をまとめた。交流人口の拡大や子育て環境の整備など、5つの分野で基本目標を掲げ、各施策ごとに指標を定めた。24日から素案について市民意見を募集し、10月末までの成案化を目指す。

 地方版総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国が各自治体に策定を求めている。市は昨年から人口減少問題の現状分析を進め、今年6月に総合戦略策定に向けたグランドデザインを策定。有識者らで構成する市まち・ひと・しごと創生推進会議(奥平理委員長)を立ち上げ、議論を進めてきた。

 総合戦略の計画期間は本年度から2019年度までの5年間。函館の人口減少の課題を▽若年層をはじめとする転出超過▽合計特殊出生率の低下などに伴う出生数の減少▽高齢者の死亡数の増加−の3点にあるとし、各分野で5つの基本目標を設定した。

 目標のうち、「経済を元気にする」では、新幹線開業による交流人口拡大、函館アリーナなどを活用した「MICE」(コンベンション)などの誘致、雇用拡大に向けたIT企業などの誘致などを推し進める。

 「子どもたちと若者の未来を拓く」では、妊娠、出産から子育てまでの不安の解消、若者の雇用の拡大創出などの施策を盛り込んだ。高齢者の暮らしやすいまちづくりを進める「市民の安全・安心を守る」では、地域包括ケアシステムの構築、健康増進や生きがいづくり推進などの施策を掲げた。このほか、まちの魅力の向上や広域連携の推進についての方向性を示した。

 一方、人口ビジョンでは、合計特殊出生率や移動率などの条件を変えて60年までの将来人口推計を盛り込んだ。出生率が大幅に改善した場合でも15万人台にまで落ち込むなど、人口減少が避けられない厳しい状況を示した。施策の推進で活力低下や減少幅の抑制を図る。

 17日に開いた同推進会議では、それぞれの素案を了承。委員からは「現状の市の事業を戦略のように並べ替えただけではないか」という指摘もあった。パブリックコメントは24日から10月23日まで募集。素案は市のホームページで公開しているほか、市役所などで配布する。

提供 - 函館新聞社

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