大間原発 本案審理始まる
update 2015/7/8 10:07
【東京】函館市が国と電源開発を相手取った大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の第5回口頭弁論が7日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。今回から市の訴えに関する本案審理が始まり、市は国に対し、電源開発が行った新規制基準への適合申請を許可しないよう求めるとして、訴えの内容を一部変更した。併せて訴訟の争点を箇条書きでまとめた項目表を提出。フルMOXの危険性やテロ対策、シビアアクシデント(重大事故)対策、避難計画などを改めて争点に挙げた。
市は昨年4月の提訴で、国に対して原子炉設置許可の無効確認とともに、電源開発に建設停止を命ずるよう求めていた。今回は昨年12月に同社が原子力規制委員会に原子炉設置許可の変更を申請したことを受け、申請を許可しないよう求める内容に改めた。
市がまとめた争点項目では、国に対する原子炉設置許可の無効確認と建設差し止めについて、原告適格(=市が訴える資格)の判断の根拠となる法令とともに、設置許可処分に重大な瑕疵(かし)があるか否かを指摘。フルMOXの危険性、耐震設計などを挙げた。電源開発に対しては国と共通する争点のほか、原告の公用財産の所有権、地方公共団体の存立維持権を挙げた。
法廷では市の訴訟代理人が争点に関しプレゼンテーションを行い、中野宏典弁護士は福島第一原発事故と大間原発の位置を照らし合わせ、「函館市は事故が起きれば全市で避難を余儀なくされる可能性がある」と指摘。同事故を踏まえ「行政庁の判断は、事故によって尊重に値するものではなくなった」と批判した。
さらに同原発周辺での巨大な活断層の存在を指摘し「電源開発が想定外としている限り、新規制基準には適合しない」と主張。ほかにも基準地震動が平均値を基にしていると指摘、実効性のある避難計画の策定が困難なことなども挙げた。
一方、国は準備書面を通じて、大半の項目で争う構えを示した。
大間原発から半径30キロ圏内のUPZ(緊急防護準備区域)に入り、地域防災計画の策定が義務付けられるとの市の主張に対しては、「地域防災計画の策定対象となる自治体は、法令や原子力防災対策指針で明確に特定されているものではなく、UPZに含まれる地域は各自治体の判断に基づき防災計画が策定されている」などと否認した。また、同原発周辺海域の活断層の存在やテロ対策についても「否認ないし争う」とした。
次回の口頭弁論は10月6日に開かれる。
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