市電や函バス共通利用 IC乗車券導入に調査費
update 2015/6/23 10:25
函館市は、市内公共交通の利便性向上を図るため、市電や函館バスで共通利用できるICカード乗車券の導入検討を進める。開会中の第2回定例市議会に提出した補正予算案に調査費として約40万円を計上。3月に策定した市生活交通ネットワーク計画では導入時期を2016年度以降としており、新幹線開業後の観光客需要を見込みながら、地域に適したIC乗車券の在り方を検討する。
IC乗車券は全国の交通事業者で導入が進み、「Suica」(スイカ、JR東日本)や「Kitaca」(キタカ、JR北海道)など、JR各社や大手私鉄の大都市圏を中心に全国10社の相互利用可能なカードと、地域独自カードがある。
札幌市交通局のIC乗車券「SAPICA」(サピカ)は市営地下鉄、路面電車、市内路線バスなどで利用できる。全国系カードで地下鉄などの乗車は可能だが、逆にサピカを利用して、JRなどの乗車ができない「片利用方式」を採用している。
市は市電と函館バス共通利用を前提に導入を検討。年間480万人超の観光客が訪れ、新幹線開業でさらに増加が見込まれる函館の場合は、少なくとも片利用方式であれば、普及率の高い全国系カードが使用できるメリットは大きい。地域独自カードには、市の高齢者交通料金助成券や市電からバスへの乗り継ぎなど、独自の料金体系をシステムに盛り込むことも可能で、市民のわい雑さの解消にもつながる。
国土交通省のまとめでは、県庁所在地や人口20万人以上の115都市でIC乗車券のない地域は函館など10都市のみ(4月1日現在)。本年度から有識者らによる検討会で、普及拡大に向けた議論も進められている。ただ、導入には多額の予算を必要とするため、市は本年度内に先進事例などを調査し、函館に適した仕様を構築する考え。市企画部は「導入費用の低コスト化や国の動向を見ながら調査、検討を進めたい」としている。
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