歴史的建造物の老朽度調査に本腰、函館市
update 2015/6/16 10:18
函館市は、西部地区の街並みを形成する歴史的建造物の老朽度などの調査に乗り出す。多くの観光客が足を運ぶ函館を代表するスポットだが、築100年を超える建物も多く、持続的な街並みの保全が大きな課題となっている。市は19日開会の第2回定例市議会に提出する補正予算案に調査事業費480万円を計上。調査を基に修理計画案を立てて、次世代への継承や所有者への支援策を検討する。
西部地区は幕末の開港以来、外国の文化を取り入れながら発展し、明治、大正、昭和初期に幾度となく襲った大火を乗り越えて独特の街並みが形成された。洋風、和風、和洋折衷建築など、「異国情緒」の言葉に形容される函館を代表する観光名所となっている。
市まちづくり景観課によると、市は弥生町や大町など約120fを都市景観形成地域に指定。特にベイエリアや教会群などがある14・5fは、文化財保護法に基づく伝統的建造物群保存地区(伝建地区)となっている。元町や末広町を中心に伝統的建造物は75件、景観形成指定建築物は48件の登録があり、約8割が築90年以上、半数近くが築100年を超えている。
構造は木造、れんが造、鉄筋コンクリート造などさまざまで、老朽具合や修繕方法は建物ごとに異なる。調査で必要な対策を把握し、適切な維持管理につなげる。カフェなどに改装され活用されている建物もある一方で、同課は「空き家となって保存状態が良くない物件もある。所有者の高齢化も進んでいる」とする。
本年度は予算成立後に伝建地区内で10件程度の調査を実施。来年度以降も継続して、5年間で50件程度の建物の状況を取りまとめ、修理計画案を作成。指定建築物を対象とした修繕費などを助成する制度の見直しも進める。同課景観担当は「いま調査を進めなければ手遅れとなってしまうこともあり得る。建物、街並みの継承や活用につながるよう取り組みを進めたい」としている。
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