スルメイカ漁低調

update 2015/6/13 10:22


 道南スルメイカ漁は、1日の解禁から10日以上たっても漁模様は上向かない。函館市水産物地方卸売市場が取り扱った生鮮スルメイカは、昨年同期より約1d少ない11・3d(10日現在)。不漁だった昨年を下回る低調なスタートを切った漁業者は危機感を持ち始めている。

 事前予想では、漁期開始直後の松前沖での漁獲は高い水準になると報告されていた。市農林水産部によると、水産市場でのスルメイカ平均単価は1`あたり1321円(同)となり、昨年同期の2倍近い。市企画調整課は「出だしは期待していたほどではなかった。今後好転してほしい」と願う。

 漁業者の佐藤豊次さん(65)は「今の状態なら漁模様が上向く環境ではない。漁場が遠く燃油を使うので、採算を取るのが難しくなっている。本当にこれからイカが捕れるのか心配だ」と不安げだ。

 中島廉売内の紺地鮮魚(紺地慶一社長)では12日、いけすイカを1`1500円で販売。同店は「やっときょうはまとまった量が水揚げされたので、価格が下がった。漁業者は松前沖まで燃油代をかけて行って空振りに終わったら大変」と漁模様が上向くことを期待する。

 道総研函館水試(金森浩一場長)の澤村正幸研究主査は「不漁は松前沖での漁場形成が一時的に低調だったのが要因とみられる。桧山や青森県下北半島沖では漁獲があり、イカの来遊がないわけではない」と指摘。「金沢や新潟、山形ではまとまった量が水揚げされており、後続の群れが北上してくれば漁模様が上向く可能性がある」と話す。ただ、海水温の上昇によって群れが沖合を通ったり、通過が早まったりすることもあり、注意が必要としている。

提供 - 函館新聞社

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