函館市長選、「大間訴訟」最大の争点に
update 2015/4/9 10:24
任期満了に伴う函館市長選(4月19日告示、26日投開票)に、元衆院議員秘書の広田知朗氏(53)=無所属=が8日、出馬を正式表明し、再選を目指す工藤寿樹氏(65)=無所属=との選挙戦が確実となった。広田氏は大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟について「当選したら取り下げを検討する」と新たな対立軸を提示、同原発への反対姿勢の在り方が選挙戦最大の争点となりそうだ。
工藤氏は2011年4月の初当選後、民主党と自民党の両政権や事業者の電源開発(東京)に対して計4度、建設の無期限凍結を要望した後、「何もしていただけず、やむを得ない」とし、市議会の全会一致を経て昨年4月に国と同社を提訴した経緯がある。
これに対し広田氏は会見で「国とのコミュニケーションが取れなくなる。訴訟は最後の切り札で、使ってしまうことは考えられない」と批判。原発から半径30`圏内に位置する全国の他の自治体との連携など、法的手段を使わずに中止を模索する意向で、提訴という手法の是非を問う考えだ。
広田氏はさらに、工藤氏の行政運営について「北海道新幹線が来るのに人口が減少している。4年間でやったことは大間原発の訴訟と大型ハコモノ事業だけ」と指摘。工藤氏が取り組んだ高齢者の交通料金助成に上限を設ける施策の見直しや、市立小中学校の統廃合をゼロベースで見直すことなどを公約に掲げた。
一方の工藤氏は函館新聞の取材に対し、「敬老祝い金など、ばらまきをやめただけ」とした上で、特別養護老人ホームの定員数増加や小中学校の耐震改修に取り組んだ点を強調。「財政を健全化しないと福祉や教育に予算が行かない。(広田氏とは)重点の置き方が違う」と話す。
また、函館市長はこれまで井上博司氏、西尾正範氏、工藤氏と市役所出身者が3代続いており、民間出身者にかじ取りを委ねるかどうかもポイントの一つとなる。「今の函館には民間の幅広い知恵と人材力が必要」と訴える広田氏に対し、工藤氏の陣営幹部は「公務員出身だが、GLAYを呼ぶなどまちづくりの発想は豊か」と反論する。
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