新幹線開業 下北・佐井村も熱視線
update 2015/3/26 10:13
【佐井】開業まであと1年となった北海道新幹線を好機ととらえ、観光客を呼び込もうという動きが青函両地域で活発化している。函館と青森、弘前、八戸の4都市は連携を強化し、誘客に力を入れ始めた。青森県の下北地域でも開業への期待は大きく、観光素材の掘り起こしや周遊ルートの開発を急いでいる。人口2300人余りの小さな村、佐井村も開業に熱い視線を送り、誘客に向けた挑戦を続けている。
下北半島の西側に位置し、大間町に隣接する佐井村は、南北約30`に伸びる、漁業が基幹産業の小さな村だ。有名な景勝地の仏ヶ浦を抱えているが、観光資源は乏しく、訪れる観光客の数は年々減少している。
「20年ほど前は年間約20万人の観光客が訪れたが、近年はその半分の状況が続いている。むつ市の恐山に行った後に立ち寄るパターンが多く、どうしても通過型の観光になる」。観光協会の鹿嶋年男さんは村の観光の現状をこう語る。2010年12月に東北新幹線新青森が開業したが、距離やアクセス、観光商品づくりなどの点で課題が多く、下北半島への誘客は進まなかった。
そこで下北地域は、北海道新幹線開業で函館を訪れる観光客をターゲットとし、所要時間1時間30分のフェリー大間航路を使って足を運んでもらうという戦略を描く。道南へは新幹線、さらに船旅を組み合わせて売り込む狙いだ。「あとはどう魅力的な商品を造成するかだ」と同村役場産業建設課主幹の宮川洋平さんは話す。
商品づくりに同村を組み込んでもらおうと、22、23の両日に道南や青森市などの運輸、観光関係者らを招いたモニターツアーを実施し、観光資源の発掘や検証を行った。
参加者は福浦地区で約120年前から漁師が世襲で伝えてきた漁村歌舞伎の特別上演や、同じく矢越地区に伝わる歌舞伎を見学。ほかに仏ヶ浦を見たり、漁協の水産加工場などで加工体験をしたりするなど村が提案する観光メニューを体験していった。
歌舞伎は地域の伝統を肌で感じることができるとあって参加者には好評。一方で「周辺自治体との広域連携で商品化すべき」という意見もあった。ツアーに参加したJR北海道観光開発室の宮本貴奈さんは「宿泊施設が少ないなどの課題はあるものの、観光素材の新しい発見があった。商品づくりに役立ちそう」と感想を語る。
観光資源が少ない同村だが、明るい材料がないわけではない。昨年夏には村の主婦8人がまち歩きのガイドグループを結成。平均年齢は60歳を超えるが、地元住民目線の案内が評判を呼んでいる。宮川さんは「北海道新幹線開業は佐井村にとっても大きなチャンス。仏ヶ浦や特産のウニを目玉として売りつつ、新たな観光コンテツを増やしていきたい」と力を込める。
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