大間訴訟、7月から本案審理へ
update 2015/3/20 10:21
【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取った大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の第4回口頭弁論が19日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。原告の市は訴訟の争点をまとめた上申書を提出、同地裁はこれを踏まえ、7月の次回弁論から市の訴えに関する本案審理を始めることを決めた。
昨年12月25日の前回弁論で、市に原告適格(=訴える資格)がないとし、門前払いを主張する国や同社に対し、増田裁判長は判断を留保する考えを示し、市側に争点をまとめるよう求めていた。
上申書では国に対する原子炉設置許可の無効確認に関し、設置許可に使われた審査基準に不合理な点がなかったか否かを問うほか、改正原子力規制法に基づき、建設中でも規制への適合性を求めることへの可否を争うとした。
電源開発に対しては同原発の建設中止を求めている中で「司法判断を示すために、原子力規制委員会の新規制基準適合審査の結果を待つ必要はない」と指摘。さらに耐震設計や基準地震動の設定の不十分さとともに、テロ対策では航空機突入や潜水艦からの攻撃対象となる可能性、シビアアクシデント(重大事故)対策では事故の想定が限定的となっている点などで争う構え。原告弁護団の只野靖弁護士は「規制委で審査が始まっているが、新規制基準そのものに欠陥がある」と指摘した。
裁判終了後に非公開の進行協議を実施。同地裁は次回から本案審理入りを決めるとともに、市側に上申書をさらにコンパクトにまとめた争点整理表の提出を求め、国側には本案の認否に関する文書の提出を求めた。
また、市側はこの日の弁論で、原告適格について準備書面とプレゼンで反論。中野宏典弁護士は市が訴えの根拠とする自治体の存立維持権に関し、私人と同様の立場で訴えているとした上で「(事故が起きても)何らの法的手段もないのか、座して死を待つしかないのかを問いたい。福島の事故への反省はみられず、真摯(しんし)に反省するなら正々堂々と原発は安全だと主張すベき」と述べた。訴えの内容が不明確、未成熟だとする電源開発の主張に対しては書面で「意味不明で、詭弁(きべん)としか評価できない」と断じた。
次回は7月7日。この後も10月6日、来年1月19日に口頭弁論が行われることが決まった。
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