函館市、迅速な避難所開設へ 地域協力員制度を導入
update 2015/3/11 10:14
函館市は、大規模地震・津波をはじめとした自然災害時にいち早く避難所を開設するため、町会や自主防災組織の役員が避難所の鍵を管理し、解錠する「避難所地域協力員制度」を1月から導入した。夜間や休日など施設が施錠されている場合でも、近くに住む協力員が速やかに避難所を開き、住民の安全を確保する。市は先行して市所有の77施設(うち1施設が実施済み)への導入を目指す。
避難所は通常、市職員や施設管理者が開設するが、本人が被災したり、避難所に到着するまでに時間が掛かったりするケースも。そこで避難所の迅速な開設に向け、市と地域で解錠手段を多重化≠キる。市は「市が解錠を地域に押し付けるものではない。市と地域住民が連携して一人でも多くの命を守りたい」(総務部)と強調する。
覚書を交わした上で、町会や自主防災組織が指定する協力員に鍵を引き渡す。封筒には鍵のほか、解除方法などを書いた紙も入れて封印。鍵は1施設あたり最大3本用意する。協力者は避難所を解錠するときしか開封せず、家の中で厳重に管理。役員改選や高齢などで管理できなくなり、協力員を交代する場合は手続きを取る。
1月下旬に町会役員らを集めて説明会を開き、制度の概要を説明。現在30町会から協力の申し出があるという。
避難所の解錠は、市が定める基準に基づいて協力者自ら判断する。市内には186町会、80の自主防災組織がある。市は第一弾として市立の小・中学校、幼稚園、高校、津波避難ビルなどから導入したい考えで「制度の趣旨を理解してもらい、民間や道立の施設にも輪が広がってくれれば」(市総務部)と期待する。
制度を導入したある町会長(74)は「制度によって避難所に速やかに入れるようになり、寒空で長時間待たなくてもよくなると思う。『3・11』の教訓を生かすため、各町会が話し合い、制度の利用を進めて共助による防災対策に取り組んでほしい」と話す。
協力員に選ばれた女性(71)は「解錠用封筒を託された責任も感じるが、避難誘導などの役割分担を決めておくことも重要。災害時は自分も避難する身になると思うので、自分の安全を確保した上で、避難所を開設する力になれれば」としている。
道は「近所の人に集会所などの鍵を預ける例は聞いたことがあるが、有事に備えて制度化するのは珍しいのではないか」(危機対策課)とする。
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