「風力発電」を施工業者が提訴…江差の三セク
update 2015/3/7 10:24
【江差】江差町の第三セクターで同町が51%の株式を保有する風力発電「江差ウインドパワー」(森藤次雄社長)と連帯保証人の斐太(ひだ)工務店(本社・名古屋市)を相手取り、施設の施工業者でエネルギー設備業の国内大手・JFEエンジニアリング(本社・東京)が、2013年5月に貸金請求の民事訴訟を東京地裁に起こしていたことが6日、分かった。請求金額は数億円規模とみられる。町は提訴直後に状況を把握していたが、これまで公表していなかった。
6日の議員協議会で照井誉之介町長が報告した。町内元山地区の風力発電所建設時、JFEが江差ウインドパワーに資金提供した契約保証金及び性能保証金の返済を求める訴訟と説明。これに対し、江差ウインドパワー側は「返済する義務のない債務で、風力発電施設の性能の補償債務との相殺を申し入れている」という。
照井町長は「江差町は訴訟の当事者ではないが、町が出資する第三セクターであり、本件の詳細については然るべき時期に説明したい。本日は訴訟になっていることのみを報告させていただく」と述べ、係争中を理由に概要は説明できないとした。議員からは「なぜいまこの報告があるのか」と疑問の声が上がった。
江差ウインドパワーは2001年に設立、出力750`hの風車28基(総出力2万1000`h)を町内の元山地区に設置。減価償却対策として、事業開始直後に高く設定した電力単価を、年を経るごとに段階的に引き下げるステップダウン式で北電側と契約した。
ところが、稼働当初に風車のトラブルが相次いだため、収支計画が狂い、売電単価が下がった11年度に経営状態が悪化。町への固定資産税が滞るなど、一時経営が行き詰まっていた。その後、東日本大震災を受けて12年に施行された再生エネルギー全量買い取り制度で、売電単価が安定し、危機的状況を脱していた。株式は現在、町が51%、同工務店が約4割を保有している。昨年度の売電実績は4億5900万円。
JFEと江差ウインドパワーは、函館新聞の取材に「コメントできない」としている。
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