「大間特有の問題点」主張へ 審議に向け、市長と弁護団が意見交換
update 2015/2/20 10:27
【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手に提訴している大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟に関する、工藤寿樹市長と弁護団との意見交換が19日、東京都内で行われた。3月19日の第4回口頭弁論以降、実体審理に入る見通しとなったことを受け、避難計画を市に義務付けながら同意権がない点や使用済みMOX燃料の処理、テロ対策など、大間特有の問題点を強く主張していく方針を確認した。
裁判は市の原告適格(=訴える資格)に関し、国と電源開発が「資格がない」として門前払いを主張しているが、東京地裁は昨年12月の前回弁論で、原告適格の判断を留保するとともに、市側に対して主な論点項目の提出を求めた。意見交換は今後の方向性や論点を確認することを目的に開かれ、市長と川越英雄総務部長のほか、弁護団5人が出席した。
会談では、大間特有の問題点として▽国際海峡の津軽海峡から3カイリ(約5`)しか離れておらずテロ対策が不十分▽使用済み核燃料から出るプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を燃やした際に、さらに出る使用済み核燃料の処理計画がない▽市が策定を義務付けられている避難計画に関し、電源開発がどの程度の事故を想定しているかの提示がない−点が示された。
原告弁護団の河合弘之弁護士は事故の想定に関し「軽微なものか福島第一原発事故級かで、避難計画の立て方が違ってくる」と指摘。市長は「情報を出すのは国や事業者の役割。どんな事故が起きるかを市が勝手に想定して避難計画をつくるわけにはいかない」とし、電源開発が事故のシミュレーションを示さない場合には提示を求め、さらに裁判を起こす意向を示した。
市長は会談後「地震、津波など他の原発との共通問題もあるが、大間特有の部分と、市による訴えだということを強調していく。弁護団との意見や方向性が一致した」と振り返った。河合弁護士は次回弁論で論点を10項目上げるとし、うち5項目は大間独自の問題を主張すると説明。避難計画については「最大の重点で、裁判所の理解も得やすいのでは」と述べた。
次回の弁論は3月19日午後3時から東京地裁で開かれる。
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